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永遠なる無駄遣い


永遠なる無駄遣い
コートダジュール、パリ 1997

(5)マントン - 4/4


<ロンシャンの新作リュック>

 ニースに戻り、ホテルの近くのロンシャンに入る。ここも秋の新作を各1点ずつ展示。ビニール・レザーの紺のリュックがなかなか流行そう。薄くて、ショルダー部分だけが革。色合いも最高。現地価格で2万5000円でした。残念ながらパリのデパートでは見当たらず。

 そういえば、一時米国出張用にロンシャンのガーメント・バッグ(背広やら、靴を入れるヤツ)を使っていたが、重くて重くて辞めた。テント用の生地の厚いやつでできているんだが、スーツ2着では重い。今はもっぱら、ハートマンのビニールのやつ。これは米国で買うと、少し安いけど、色が揃わないし、日本で買うことを勧める。そう、三越にあります。一番いいのが、東京の日本橋三越。今年に入り店舗が改装され、だいぶ売場が大きくなったが、昔はエスカレータ横にぶら下がっていた。すべて売り場責任者の鞄に対する意欲(探求心)と才能(サービス精神)のなせるわざ。鞄の好きな方は、一度彼の蘊蓄を聞くと良い。

<マーケティング考>

 脱線ついでに言うが、国内の商品が多少諸外国よりも割高でも、商売(あきない)の基本ができていれば、顧客はつきます。旅行鞄とか買ってくるにも大きいし、仕事用の鞄はすぐに使うから、そう待てない。どんなに頻繁に海外出張をしている人でも、忙しいので、そう頻繁に海外で買い物をするわけにはいかないから、規制緩和しても大丈夫です。たぶん、売れなくなるのは、トヨタ自動車のセールスマンやら三越百貨店の外商部のようなセールスのエキスパートが少ない、或いはそのような商品や顧客に対する理念の消失したお店ではと考える。だから売りっぱなしには気を付けてほしい。逆に、個人でしっかり勉強し、ポリシーをもって商品を仕入れてきた人は、今延び盛りですね。

 例えば、ヨーロッパ系のデザイナー・スーツはこれから面白いと思う。まだまだ、ニッチ・マーケットを狙える分野です。私はわざわざ日本製よりもさらに質の落ちる香港製やら台湾製のブランド・スーツを買うのだが、袖の長さやら襟のシワを完全に直せるので、日本製やらヨーロッパのオリジナルよりも上だと考えている。腕の良い「師夫(スーフー=師匠)」の所属するブランドのものを買うのは現地人の常識である。確かに、日本のお店でコメントする通りフランスやらイタリーのブランドものデザインは袖が長めだが、東洋人には少し詰めないと着れませんぜぇ。ちょっと、無理して売っていませんか、いくらなんでも。ここらあたりは、新しい業態の可能性はまだまだある。若い人は香港やら台北やら上海に一度修業に行くといいと思うのだが。

<ニース・エトワール(ショッピング・モール)>

 エトワールには専門店がたくさん入っている。マーケティング(定点観測)を敢行。どこもかしこも40%引き。ごみ箱の設置の仕方に痛く感動。そういえば、コートダジュールの町中のごみ箱のデザインは素敵なものばかり。途中、ショッピング中の家族を定点観測。母親に娘(短大生前後)に息子(高校生前後)にわんちゃん。わんちゃんと息子は店舗の外で、静かにショッピングが終わるのを待っている。かなり息子はしびれをきらしているが、しかたがないと諦め顔。犬もじっとしていたが、とうとう痺れをきらし、うろうろ、そわそわ。そのうち、母、娘が大きな袋を抱えて出てきて、犬も息子もほっとした。犬のしっぽはちぎれんばかりの熱烈歓迎状態。と思ったのも束の間、母、娘はすぐに隣の店に。息子、犬、がくぜんとし、うなだれる。今度は犬もあきらめ、うつ伏せの体制。その間、ベンチに座り、カキ氷に極めて近いレモネード・ジュースを飲みながら、一部始終を眺めていた。


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