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永遠なる無駄遣い


海外逃亡顛末01#2
マデイラ・マルタ 〜島の旅
永遠なる無駄遣い

(3)ミラノそして日本へ 3/3


<旅立ちの朝>

 凄い雨なので、朝食はホテルで取ることにした。チェックアウトの時に気づいたのだが、食べてもチャージされないのはなぜなのかは不明。宿泊料に朝食は含まれないと言われたのに、食べても取られることはない。これはこのホテルに限ったことではない。ヨーロッパに来るとつくづく思うのだが、ここでは知っている人が得をし、知らない人はとことん損をするようになっている。しかも、知っている人は、タダではそれを教えてくれない。つまり、情報を自ら探し当てる能力を持っているか、教えてもらえるだけの関係を築ける人が勝つ社会のようなのだ。

 結局、雨模様なのでタクシーで空港へ。トヨタ車を運転する若い運転手がなかなか愛想がよく、車について話をする。

 友達のフェラーリGTOで240kmを体験したとか、最高速度は280kmまで出るらしいとか、かなりエキサイトしている。一本道の、しかも夜の高速道路で体験したらしい。

 彼には2才の娘がいるらしく、120kmで飛ばしつつ、写真を見せてくれた。こちらは内心ヒヤヒヤだったが、とりあえずは笑顔。

 と、彼の携帯電話が鳴った。着メロがMI-2(ミッションインポッシブル2)だねと言ったら、他にもあるよと言って、なにやらごそごそ。ヒヤヒヤしているこちらにはお構いなしに、20年前(!)に見た日本のマンガの主題歌だという曲とピンクパンサーを聞かせてくれた。

 そうそう、それから、イタリア人はドイツ人が嫌いらしい。フランス人は人によりけり。スペイン人は好きなのだそうだ。アメリカ人も人によるらしい。タクシードライバーの貴重な意見ではある。

<アリタリア航空>

 帰りの便はJALだったので、鶴のマーク(古い・・・)を期待したのだが、共同運航のアリタリアだ。より正確に申せば、JALに代わってアリタリアが運航するフライトであり、飛行機もキャビンクルーもアリタリアのものだ。

 定刻通りの出発だというので時間通りに搭乗口に行ったのだが、やはり1時間遅れ。その間、遅延を知らせるアナウンスはない。

 ビジネスクラスはエコノミーの乗客が搭乗した後からようやく機内へ案内されるため、長い間立ちっぱなし。それならば、ビジネスクラス用のラウンジまで呼びに来るくらいのサービスをすべきだろう。この問題、外国人の間ではかなり不満が強く、JALでも協議を申し出ているが、どうも埒があかないらしい。

 マルタの空港でイギリス人のビジネスマンが教えてくれたのだが、アリタリアとは「いつも出発が遅れ、いつも到着が遅れる」の略だという。Alitalia(Allways Late In Takeoff and Allways Late In Arrival)。

 離陸後しばらく、イタリア人スッチーとこの話をする。ミラネーゼの彼女でも、これは問題だと思っているらしい。ただ、イタリア人は個人主義だからという。そうかもしれないけど、イタリア人のあの対応はいただけない。

<機内食>

 出発までの対応の悪さに参って、ついついいつもの文句が出たが、機内食は良い。食器もちゃんと陶器のものを使用。ワイングラスを3回も取り替えてくれた。コーヒーもおいしい。しばらくはイタメシはいいかというくらい満足できた感じ。

 食事も終わり、オイラはお仕事モード。帰国後のレポートをノンストップでこなし、明日以降のスケジュールを確認。4月以降の仕事の問い合わせが数社から舞い込んでいる。時差ボケのなかで会うというのか…。

 そういえば、担当するグループの業務範囲を拡大することにした。今はスタッフ集めの花いちもんめの時期。毎年、部内で自分のグループで仕事をしたい人を募るのだ。今回はマルタから募集の告知を出したが、条件は2つ。知的好奇心と礼儀作法。いないんだなぁこういうのが実は...。 ということで、旅モードは飛行機の中ですっかり日本での仕事モードに。

 そして日本に帰ってきたとたん、こんなにいろいろあったのに、オイラは早くも次はどこに行こうかと考えを巡らしている。

(了)

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