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こちら情報局


「言いたい放談」
『東京新聞』
03年06月20日付
こちら情報局

多チャンネル時代

 アクティブシニア(元気な高齢者)と言うだけでも「まだまだ若い」「年寄り扱いするな」と鼻息荒くなる昭和5年生まれの父に、パソコンやネット検索などを教え、やはり最後は常時接続だということでブロードバンドの導入を勧めた。
 
 筆者が運営する個人サイトLin's Barに掲載している過去のコラム、論文や日々の活動日記を見てもらうには、通常の電話回線よりも常時接続・固定料金の方がストレスはなく、スムーズだからだ。
 
 ちょうど両親の住んでいるマンションの理事会がCATVへの加入を前提に話し合いをしていたので、それはいい、早速つけてもらいましょうと色々アドバイスをした。
 
 それでもこちらが並べたてるメリットは、デジタル(バーチャル)に終始してしまいがち。何事も無駄を省く戦中派の彼らは、アナログ(リアル)を基準に物事を考えるため、なかなか首を縦に振らない。
 
 結局最後は、マンションの付加価値のためにもCATV加入は大事だと説得し、ようやくCATV網の確保に成功した。
 
 導入して3ヶ月。インターネットはさておき,CS放送はフル稼働している。
 
 最初は半信半疑でCS放送なんて必要ないし、さっさと契約解除だとか言っていたのに、大の巨人ファンの父が、CS経由で巨人戦以外のプロ野球放映にもチャンネルを合わせ、大満足のようだ。
 
 もちろん、昭和30年代、40年代の懐かしい番組にも手が伸びる。
 
 今ではCS特有の3桁台のチャンネルもスラスラ・スイスイ。テレビとCATVチューナー用の2つのリモコン操作もお手のものだ。
 
 こちらの方がアナログ世代の二桁チャンネルに安住している間に、さっさと快適ライフを実現している・・・。
 
 12月に始まる地上波デジタル放送には悲観的な見方もあるようだが、こうした事例にも見られるように、いったん面白みがわかれば、自然に普及するものだ。人間は「ホモルーデンス」、すなわち、遊ぶ生き物なのである。