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こちら情報局


「言いたい放談」
『東京新聞』
04年06月04日付
こちら情報局

社会の窓

 地村、蓮池両夫妻の子供たちが戻ってきた。これでようやく、水入らずで暮らせる。
 
 北朝鮮で、しかも両夫妻は特殊な立場だったはずなので、普通に家族で暮らすというのはそれほど簡単なことではなかったはずだ。
 
 現に寄宿舎に居たりして、思春期は父母から離される生活をし、大学生になって、ようやく週に一回会える状態になったようだ。
 
 日本に戻り、急に家族、家族といわれ、最初は久しぶりの再会に小躍りしただろうが、照れくささなどないのか。
 
 だんだんと落ち着いてきて、「親父うるさいなぁ」「お袋説教ばかりするなよ」なんて会話や親子喧嘩が出来るようになる日々がやってくるのか。あるいは、彼の国では両親は絶対的なものであり、そういう関係ではないのだろうか。
 
 さて、日本の環境への適応、日本語の学習にも、テレビ番組やマンガ、ゲームなどが活躍の様子。でも、見ている番組や目にする番組、その影響が気になるなぁ。
 
 筆者が今週、何気なくチャンネルを合わせた番組だと、深夜枠からゴールデンタイムに進出した「キスイヤ(月曜日、日本テレビ)」では、同棲中の彼氏が手も握ってくれずに浮気だと思っていた彼女が番組を利用して真意を正したら、彼氏に付き合っている男性がいることをカミングアウトされるシーンが登場した。
 
 ロンドンハーツ(火曜日、テレビ朝日)では、ある男性が、2マタ癖があるかどうか彼女に検証され、隠しカメラで一部始終トレースされていた。ハッピーエンドで、揺ぎ無い「愛」が確認されたが、途中経過はかなり微妙である。
 
 ま、こうした番組がいけないとはいわない。それなりに制作側のバイアスを意識すれば、笑って済まされるのであろうが、いきなり違う文化、価値観から、日本に来た人が見れば、戸惑いも多かろう。
 
 現実の世界でも、子供を虐待したり、養女の指を切り落としたり、女子小学生が学校で同級生を殺害する。
 
 「お父さん、北の方がまともだよ」そう言われないための何かが日本から消えている。