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こちら情報局


「言いたい放談」
『東京新聞』
04年06月18日付
こちら情報局

ネット=ナイフ論?

 長崎県佐世保市の小学生女子児童による同級生の殺害事件。被害者の父親の新聞記者としての職業観と凛とした姿勢。母親が病気で数年前に亡くなっていること。そして発表された手記が涙を誘った。
 
 ワイドショーや週末の報道番組など、テレビメディアでは、ネットは危ないという論調が支配的だ。既に、小学校などで利用規制などを求める動きが強まっている。
 
 しかし、筆者が連載するウェブ上のコラム「現代リスクの基礎知識」に寄せられた意見には異なるものがあった。
 
 そこでは、ネットの特性を活かし、読後、様々な意見が寄せられる。いわば、リアルタイムでの双方向での受け答えのようなものである。利用者にはビジネスパーソンが多く、同世代の子供を持つ父母も含まれる。
 
 日常的にパソコンやネットを駆使する皆さんによる、冷静な意見が読者投稿欄には多く寄せられた。
 
 ネットの影響以前の問題の指摘、子供(男子)が高学年女子に苛められているが、高学年の教師は女子に寛大であることなども訴えられている。また、妻が教師のビジネスマンは、長崎の事件が他人事ではなく、常に襲われる恐怖と闘っていると、ネット上の「日記」にその心情を綴っている。
 
 インターネットはツールでしかなく、使うヒトにより凶器にもなる。
 
 「インターネットはよく解らないから、お父さんやお母さんはお手上げだよ」だと、「だせーー」という子供らの心の反応が返ってきそうだ。
 
 昔で言う父親とのキャッチボール、母親との裁縫が今だとネットであり、パソコンゲームなのかもしれない。
 
 黙って買い与えて、やりたい放題でよいことはない。おやつだって、その時々でどうするか考えているはずだ。氾濫するメディアツール。そこに流されるコンテンツ。それを使う人間と、それらを介したコミュニケーション。単純にナイフを取り上げるだけではうまくいかない。