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こちら情報局


「言いたい放談」
『東京新聞』
04年08月13日付
こちら情報局

薄型大画面テレビ

 いよいよオリンピックが開幕。アテネでの日本選手団の活躍が待ち遠しい。今日、深夜の開会式を始め、しばらくは寝不足の日々が続く。なかには、薄型大画面テレビを購入し、迫力ある映像を堪能する読者いることであろう。
 
 筆者は元来、新しいもの好きだが、もう少し粘って、まだまだ現役のブラウン管にお付き合いすることにした。
 
 夜更かし大王の筆者は、丑三つ時に時計のコツコツコツという音だけで一人資料を読み漁り、執筆するのを苦手とする。気が小さいのか、日頃はテレビをつけたまま夜中を切り抜ける。
 
 そうしたこともあり、様々な人が起きて一緒に騒いでくれることがなんだか嬉しく、心強いと考えている。
 
 もう一つ、オリンピックイヤーというと浮かれてしまうのは、筆者が日本に来たのが四十年前の、東京オリンピックが開催された年だからであろう。当時、五歳半。あれから、日本の繁栄を見続けてきた。
 
 いろいろ紆余曲折があったが、日本は、がんばり、世界の先進国の仲間入りをした。
 
 テレビは白黒からカラーになり、一家に一台から一人に一台、そして携帯電話でテレビが見られる時代になった。
 
 女性は社会進出を果たし、男性も女性の職場と言われた分野に積極的に進んでいる。
 
 先週、北欧からの一時帰国でパリから搭乗したJAL便では、ロンドンベースの外国籍ハンサムパーサーがサーブしてくださった。白人男性の流暢な日本語には、日本のおじ様方は多少腰が引けるのか、「新聞の銘柄は」と聞かれ、憮然と「なに、なんのこと」「なんでもいいよ」と冷たい応対をしていた。
 
 それも、ひとり、ふたりではない。うーむ、これが女性フライトアテンダントだったら、違う対応だろうなぁ。
 
 ああ、そうか、日本社会の閉鎖性の最後の関門は、このあたりなんだな、と次なる目標を見出した瞬間でもある。
 
 大画面テレビ同様、フラットな、そして心の広い付き合いが尊ばれる。