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こちら情報局


「言いたい放談」
『東京新聞』
04年10月08日付
こちら情報局

テレビCMと観光誘致

 三度目の北欧滞在中である。おかげさまで3ヶ月にわたる高齢者コミュニケーションのための実証実験も、当初の目標を一通り達成した。
 
 さて、テレビの申し子のような私としては、プロジェクトの合間の楽しみは、北欧テレビ事情のチェックとなる。
 
 番組の大部分は、米国系ドラマや娯楽の吹き替えなので、英語に不自由なければ、それなりに長い夜を過ごすことはできそうだ。
 
 宿泊するホテルによっても異なるが、通常ニュースはCNNやBBCで見る。現地語ができないビジネスパーソンの基本でもある。
 
 そのCNNの番組途中に挿入されるCMで欧州から遠く離れたアジア諸国の頑張りを実感したりもする。
 
 アテネ五輪開催時には「台湾もチャイニーズタイペイの名称でオリンピックに正式加盟しています」というCMが流され、当方の若手スタッフなどは、かなり印象深く記憶にとどめたようだ。
 
  9月以降、しきりに流されるのは、アジアのエキゾチックな面を強調したマレーシアの観光キャンペーン。毎朝繰り返し聞くうちに、メロディが頭を離れない。
 
  その間隙を縫い、5回に1回はシンガポールも観光においでよと囁き、そして10月からは早くも北京オリンピックがらみの中国観光キャンペーンが登場している。
 
  ふと、日本のビジットジャパン(外国人観光客誘致)は、どうなったのか心配になっている。そもそも、ローマ字で「YOKOSO」と書いて、誰がその意味を理解し、日本に来たいと思うようになるのか、私にはわからない。
 
 まずはキャッチフレーズの「YOKOSO」を変える勇気と、そして「エキゾチック・ジャパン」ではない、「クール」のようなコンセプトを前面に出すべきだと考える。
 
  テレビCMもしかり。どこの誰を対象にどの程度の頻度で何を流すのか、膨大な予算も薄く延ばし、国内の利害関係者ばかりに気を遣いすぎると、本来語りかけるべき顧客の顔が見えなくなる。