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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年4月7日付
こちら情報局

ある日内閣

 気配りで通した小渕首相が脳梗塞で倒れ、森喜朗首相が誕生した。閣僚の顔ぶれは前内閣のままであることから、ひとまず政策を継承しつつ、解散総選挙のタイミングを図ることになろう。

 新内閣発足では、よく○○内閣という命名が行われるが、ある日突然内閣総理大臣への道が開けたことから、「ある日内閣」とした。

 え?面白くない、当たり前過ぎる...。歌にもあるじゃないですか。「ある日、森、野中のなか...」。出会うのは熊さんなのだから、民主党はクエスチョンタイムで熊谷弘幹事長代理をぶつけたらどうか。

 「不謹慎だ」などとクレームを付けないで欲しい。それほど今の政局は茶番劇であり、劇中劇であると申し上げたい。

 激務と知りつつ、ギブアップ出来なかったのは、小渕さん本人の人柄である。志半ばでの無念さは十分に伝わってくる。

 が、一国のリーダーが生死をさまようまで公務を続けてしまうのなら、生命と財産を預ける国民側としてはたまったものではない。

 間近で支えたスタッフや専門医は休ませるなり、ブレーキをかけるなりの権限を与えられていないのだろう。まるで戦国武将のような前近代的な体制を早急に改善すべきだ。副総理なるポストも検討すべきであろう。

 国のリーダーとはそれほど重要なものであり、大切にすべきものである。使い捨てを繰り返していると今に誰もなり手がいなくなる。

 それにも増して驚いたのは、空白の十数時間が存在し、首相が入院した後も、後継者が任命されるまで密室政治が行われたことだ。

 集中治療室は英語でIntensive Care Unitと呼ばれ、正確には集中強化治療室である。官房長官が「私は素人ですから...」とコメントしたならば、医師団による会見をすべきであった。