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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年4月21日付
こちら情報局

当たりマウス

 ネットブームを踏まえ、そろそろNTTの回線を「ISDN」に切り替え、快適な通信環境を手にいれようかと考える向きも多い。

 その微妙な顧客心理をつくようにNTT(正確にはNTT東日本)は、メール読みマウスを抽選でプレゼントすると言う。

 年度をまたぐ形でこれでもかと新聞の一面広告にしゃべるマウスが登場しているが、こんなのを全員が会社で使い、営業本部長の叱咤激励メールを一斉に開いたならば、たいそう勇ましい会話が飛び交うのだろうなぁと考えた(笑い)。

 実に可愛いと評判のマウスだが、ちょっと気になることがある。

 キャンペーン期間をほんの少しはずれ、既にISDNの契約を済ませた顧客にチャンスはないのだろうか。何か特別の計らいをしてはどうかという提案でもある。

 そうでなくても電力系の地域ネットやらCATVなどがてぐすね引いてブランド破壊を画策中だ。NTTもコミュニティの再生が目的なのだから、この際、契約者全員にばらまくことも視野に入れたい。

 まぁ、このあたりはマーケティング戦略の問題なのだが、一つ参考となるケースを提示したい。

 例えばアップル社のマッキントッシュ(マック)だが、以前は新製品発売を直前まで秘密にしていたため、一念発起して購入したユーザーが直後に出された高性能マシンを前にがっかりしていたものだ。これが数回続くものだから、さすがのヘビーユーザーが愛想を尽かし、競合に乗り換えていた。

 最近マックの人気が復活したのは、デザインが安定し、陳腐化しないことと、新製品の出るタイミングや性能を予想させる広報が出来るようになったからと考える。

 顧客との信頼を築くことが次世代マーケティングの神髄であり、がっかりさせないことが「あきんど」の基本である。是非ご検討を。