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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年7月28日付
こちら情報局

クリントン大統領

 サミットが終了し、沖縄がようやく本来の姿に戻るのかとほっとするとともに、ポストサミットではイベント疲れが出ないよう、再び沖縄を応援していきたい。

 さて、沖縄サミットの総括であるが、一時は来日が危ぶまれたクリントン大統領の行動にメディアの目線が集中した。

 カリスマ性というのだろうか、到着早々、炎天下での準備不足のスピーチも、終了後に汗を拭うことなく、代表者らと握手する姿により無事カバーされていた。

 若きクリントンがケネディ大統領に憧れ、政治家を目指したように、彼自身の目線は未来を担う子供達に注がれ、子供達との握手に多くの時間を割いている。

 やや米国の肩を持ち、ほめすぎではないかと追求されそうだが、これは米国側のスタンスを示唆したまでだ。米国のトップとしての責務を果たしているので、こちらが批判する筋合いのものではない。

 一方、日本側はと言えば、サミット後に予想される基地移転問題へのフォローの議論もなく、森首相の勉強不足が露呈している。

 日本経済が低迷するなか、世界の警察官を自任する米国の大統領と話せる時間などそうあるものではないのに、無駄に時間を使った。

 週明け、案の定、メディアのあちらこちらで自民批判、議長国のリーダーシップ批判が噴出した。

 お祭り気分ではしゃぎすぎ、質疑応答では原稿棒読みの森総理をいたずらにかばうつもりはない。

 が、一方でサミット中は沈黙を守り、後出しジャンケンで文句をいう野党党首には、なぜ沖縄に駆けつけなかったのかと問いたい。

 各国首脳夫人が欠席するなか、地元沖縄のこれまでの準備がふいになったと伝え聞く。そうした事へのさりげないフォローが国益となり、次世代リーダーとして野党が認知されるステップとなる。