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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年11月24日付
こちら情報局

加藤・山崎両派

 先々週のコラムにて米国大統領選を取り上げ、なんだか羨ましいと書いた。

 先週、その米国に呼応するかのように自民党の保守本流である加藤紘一、山崎拓両代議士が森総理の資質を問い、野党提出の内閣不信任案に同調する動きを見せた。

 当然、よくやった、あっぱれと叱咤激励する内容の話を先週続けることも可能だったが、迷った末に一呼吸間を置いても良かろうと考えた。案の定ドタキャン。国民全体に徒労感が漂っている。

 が、ここではいたずらに彼らの政治生命云々を語るまい。あるいは政治家信念などと絶対安全地帯に身を置いて語ることは避けたい。

 派閥の長、永田町の駆け引きの中で今回の策略はちょっと浅すぎたということであろう。

 切腹覚悟でいざ出陣、大将だけが首を差し出すというのでは敵の思う壺。だから思いとどまったのだろう。

 報道番組各社はこぞって国民を愚弄した、もっと国民を信頼せよというものの、その国民の半数以上が政治不信、無党派層なのだから始末が悪い。結局、政党政治での手続きに翻弄され、数の論理に押し切られた。

 建設的なコメントを少々。

 まずはネット上での報告姿勢。山崎代議士は、当日の深夜十二時にさっそく電子メールで謝罪文を配信したが、加藤代議士は闘い敗れてそれどころではなかったらしい。このあたり、次に繋げるにはネットでのコミュニティとの対話は続けるべし。

 もう一つは、国民の声なき声を形として見せつけること。今からでも若手代議士による巻き返しとして実行可能だ。国民に抗議のハガキを出してもらい、目に見える形にすべきである。

 世紀末の政変にしては、スマート過ぎたのが敗因ではなかろうか。