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帰宅途中に緊急連絡用の携帯電話が鳴った。この電話が鳴るのは危機管理に関する大きなアクションが必要な時だ。
貿易センタービルに飛行機が突っ込んだというスタッフの声に驚いた。NYの双子の高層ビルだという。幾つかのシナリオが脳裏を過ぎった。 夏期休暇を利用し、暫く滞在していたNY。駆け出しの二十代央、七十数階からの眺めを前に国際人への第一歩を誓った。知り合いも少なくない。 深夜に繰り返し流される映像は、何か特撮映画のようであり、俄に受け入れがたい。 これにペンタゴンの炎上が画面上で重なり、翌日以降の日本の株価が気にかかった...。 一睡もせずに現地報道に釘付けとなる。幸いにも、ネットが発達し、電子メールによる安否確認が進んでいる。 メディアが報じる入居企業の不明者名簿では詳細が掴めない時点でも、メール上ではいくつかの企業に勤務する方々の消息が筆者のもとにも回ってきた。 ある知人は直後に赤十字に出向き登録を済ませたらしい。必要ならば二日以内に先方から連絡が入るという。 もう一人の知人は徒歩で自宅まで帰り、不安な一夜を過ごしたという。 気になるのは個人の旅行者や現地の語学学校等に通う長期滞在の若者達の安否である。水や食料は足りているのだろうか。駆け込む先はあるのだろうか。グループや企業に属さない日本人達のケアを望む。
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