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米国同時多発テロのアジア市場(含む日本)への影響や、中国と台湾のWTOへの加盟後に関心が集まっている。筆者の元にも、今後の見方を求める講演や取材依頼が多い。
その準備を兼ね、十年後の様々な戦略シナリオを検討しているのだが、どうも筆者の予想を越えて、ハイスピードで物事が進んでいるようだ。 たとえば、中国とASEANの関係。ASEANがどういうスタンスを取るかが一つの焦点である。中国市場への期待から双方が歩み寄るのか、呑み込まれることを懸念し、数年の調整を重ねていくのか。 ASEAN政策について、日本は大東亜共栄圏の再来と見なされることを恐れ、強いイニシアチブを取れずにいる。自由貿易協定は成熟した国との個別交渉がせいぜいである。 一方の中国は、ASEANで活躍する多くの老華僑にまだまだ中国大陸へのアレルギーが残るなか、そうした不安を取り払い、遂に自由貿易協定交渉への合意を得た。 親会社的な言動の日本に翻弄され続けてきたASEANは、消費市場への期待も含め、いち早く次の時代の覇者、中国へとハンドルを切ったのである。 今の段階で合意した意義は大きい。数年後には世代交替の波が押し寄せるため、第一歩を踏み出すことが次世代への資産継承となるからだ。 巻き返しを図らず、切り株に腰をおろして「待ちぼうけ」を期待する日本は大丈夫か。
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