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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
98年5月15日付
こちら情報局

リゾートオフィス

 SOHO(ソーホー)という言葉をご存じだろうか。在宅勤務を意味する「スモール・オフィス、ホーム・オフィス」の頭文字を取ったキーワードである。パソコンによる情報通信が先行している米国では、西海岸を中心に、このSOHOの概念が定着している。通勤途上の肉体的苦痛から解放され、通勤時間を節約できることから、労使双方(ソーホー、つまらない洒落です)にメリット大ともっぱらの評判だ。ご多分に漏れず、米国に遅れること数年、日本でもSOHO幸福論が台頭してきた。

 私もSOHOには大いに賛成である。が、いっそのことSOHOの概念をリゾートに拡大してはどうだろうか。

 筆者の回りを見渡しても、標準的な会社員で、書斎スペースをしっかり確保した人などそういない。たぶん日本にSOHOを導入したら、「ホタル族」同様、ベランダがSOHOのための終着駅になるだろう。こうなると、SOHO専用机は、夏場冬場の厳しさを想定し、机下に冷温風装置を取り付けることが必須であるし、雨に濡れない、風に飛ばない書類の開発が急がれる。残念なことに昨今のガーデンニング・ブームでベランダは机どころの騒ぎではないかもしれない。

 で、そんな過酷な環境では仕事の能率が上がるわけがない。そこで思い切って「SORO(リゾート・オフィス)」にしてはどうか。携帯型のモバイル・パソコンを連れて、お気に入りの場所(究極はリゾート地)での仕事を奨励するのである。ワーカーホリックと言う無かれ。短い休暇を無理に取得し、とんぼ帰りで働く中堅社員に自由裁量を与えるだけでよい。

 当然、社員が企業のために尽力するのだから、休暇は長めに設定し、多めの休日手当を支給すれば良い。観光などの内需に貢献することは言うまでもない。