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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
98年6月12日付
こちら情報局

宇宙へ行こう

 週末から週明けにかけ、主要紙にペプシの全面広告が掲載されていた。2001年に抽選で5名様を招待する「スペース・ツアーズ」のお知らせである。テレビでも同時期にコマーシャルが流れ、当選した「おじいちゃん」がカメラを首からぶら下げ、フライト・アテンダント(スチュワーデスのより好ましい表現)からウェルカム・ペプシを頂き、ごくりごくり。

 このキャンペーン、当選者には幾つかの制限がある。年齢は13才から70才まで。専門家の健康診断にパスすること。当選しても5日間は飛行のための予行演習がある。6日目にようやく出発。無重力状態は2分半。直ぐに、帰還の体制に移行。と、かなり慌ただしい。

 この旅の9万8千ドル相当分のうち、1000万円分をペプシが負担するらしい。円安傾向が強まっている今の為替水準(141円台)だと、個人の負担は、380万円以上になる。いやまだある。発射基地に行くまでのコストだ。成田までの往復交通費と空港使用料、渡航手続き費用、米国往復渡航費用、旅行中の個人的な費用、さらに「宇宙プログラム前後」の諸費用は個人負担だ。宇宙に行くのだから、ファーストまでは行かないとしてもビジネス・クラスには乗りたい。宇宙プログラムを体験する前には、最高級のホテルで豪勢にディナーも必要だろう。となると個人負担は500万円を超えることだろう。

 まぁ、こういうものには、仕掛けがあり、参加者には広報活動協力費が別途支払われるようだ。体験記をどこかの雑誌社とタイアップすればそれで何とかなるかもしれない。個人的には、某局「進ぬ電波少年」で懸賞生活を実践中の「なすび」君に当ててもらいたい所だが、どんなものだろう。強い日本を実現し、為替がこれ以上円安に振れないことが、当選者を含む私達への一番のプレゼントなのだが...。