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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
98年7月3日付
こちら情報局

論壇バー

 インターネットを情報発信の先端ツールとして活用してから約1年半、気がつけば三つのホームページを運営管理していることになる。二つは、勤務先のサイト上に登録し、専門分野である「アジア」と「リスク」のそれぞれについて、問題意識を提示している。さて、三つ目のホームページであるが、これは個人のホームページとして位置づけ、大胆にも「論壇バー」としゃれ込み、電子上のバーチャル・バーとして、常連客やら一見さんやらに、酒のつまみになりそうな様々な珍味(マスターの独り言)を提供するものである。

 その名もずばり、「Lin's Bar」(http://bar.cplaza.ne.jp/)。やや大胆なネーミングは、自己顕示欲の塊と誤解されそうだが、以前某誌で連載していたコラムの名前をバーチャル上に再現したものであり、代々同じ名前を登用している。いくつかの試練を乗り越え、良心的な家主を求め、先日ようやく再開にこぎ着けた。

 さて、再開に際し、これまでに遭遇したいくつかの難所を指摘し、今後の参入を検討中の皆さんに伝授したい。

 一つは、見えない読者に背中を押されることであり、電子上に活字が常に再現可能なことから、時間や空間を超えたプレッシャーがのしかかってくることだ。多くの先輩諸氏が体調不良を理由に、しばしホームページでの活動を休止することを耳にするが、読者との適度な距離を保つことが必要だ。

 もう一つは、ビジネスとしての可能性に対する懐の深さであり、逆の意味で採算度外視に徹する気概も要求される。インターネットは非常に大きな可能性や未知の活用法がある一方で、まだまだ発展途上のため、様々な試行錯誤を必要としている。インターネットの真髄がボランティアであり、魔物であることを実感する瞬間だ。