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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
98年9月18日付
こちら情報局

インターネット詐欺

 週末に何気なく、主催する「論壇バー(http://bar.cplaza.ne.jp/)」へのメールを確認していた時だ。英文で「重要」と書かれたタイトルの前後に感嘆符が三つ。むむむ。開ける前から何やら警告文的な調子に、恐る恐る読んでみると、どうやら「お試し期間」を過ぎて相手方のソフトウェアを無断利用しているとの警告である。7日以内に未納料金を支払い正規の登録を済ませる、もしくは3日以内に登録を抹消するか何れかの行動を取らないとプロバイダー(管理者)に通告し、法的手段に出る云々。ついては、全ての証拠は挙がっており、安全対策上ここでは敢えてコレ以上の記述をしない.....。最後に登録や抹消のための問い合わせ電話番号を掲載するので、ご不明の点は何なりと問い合わせをという奴である。

 巧妙なのは、この英語で書かれたメールが送信されたのが金曜日夕方、指定の三日以内は土日を挟んだ月曜日。対処の時間が少ないことだ。連絡先には、東欧あたりの国際電話が示されている。それがダイヤルQ2であることはその後の調査で解ったのだが、なかなかの知能犯ではないか。

 メールはかなり広範に送信されているはずであり、不信に思うそれぞれのメール受信者が律儀にも問い合わせると、録音されたメッセージが延々と続き、その間にも料金が課金されるという訳だ。幸いにもソフトウェアの無断使用に心当たりはなく、無視させて頂いた。一部の専門家の間では、タイトルを見ただけで、『ああ、あの手口ね』という代物らしい。

 電子商取引で決済をクレジットカードで行う場合、高度な暗号技術を使用し、利用者の安全性を保証する研究は盛んだが、詐欺行為は身近なところに潜んでいる場合が多い。そんなことを実感する出来事であった。