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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
98年11月27日付
こちら情報局

「自自」連合

 自民党と自由党の党首が会談し、内閣改造ならびに年明けの通常国会での連立を目指し、基本的合意に達したという。この話、巷では選挙を経ていない連携は議員モラルの欠如だと、毎度の事ながら喧噪感が広がっている。この問題の本質は次のように整理できる。

 ポイントは、党首会談での合意を当事者がどれだけ重く見ているかということだ。党(国家)の舵取りを誰が行うのかということに対し、自民党は良くも悪くも派閥を通した合意形成を信条とする。ボトムアップで国民の総意を汲もうとするもの。

 一方、自由党は小沢党首の強力なリーダーシップのもと、迅速な意思決定を下せない者は指導者として失格とつれない。小沢氏は、党首会談での大筋合意が自民党内部で受け入れられないのであれば、自民党は政権担当党として国家の舵取りが出来ないと判断し、連立を即刻解消するという。自民党の無力を国民の前で明らかにし、自由党が政権奪取に奔走するための戦略を次に選択することになる。

 その一歩手前の「自自」連立の前提条件として閣僚の数を減らせと突きつけた。自民党党首としての指導力や同党の構造改革への姿勢を見極める上での先行指標として掲げた節がある。

 この話、思惑通りに旨く行けば、私達は小沢党首による「小が大を飲み込む瞬間」を目にすることになる。たぶん党名、党首にはこだわらず、政治改革、経済再生の「プロセス(国家、国民の利益を第一に考える姿勢)」をもって国民の審判を仰ぐことになろう。

 さて、気になるのは批判続出の「商品券構想」。安定政権を目指すというなら「自自」だけでは足りず、「公」は外せない。そうなれば、「藁をも掴む」数合わせに終始して、政治理念は霞んでしまう。頑張れ日本。