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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年1月22日付
こちら情報局

室内騒音

 ネットワークの時代を迎え、個人と個人が刹那的に結び付く時代が到来すると、周囲の音が気になるものである。

 数年前にも隣人のピアノの音で殺人事件に発展した例があったが、最近ではマンションのフローリング音が気がかりであるという。

 筆者などは、このフローリングを通じて響く上階の音が嫌だからと、最上階角部屋のマンションを探し求めたのだが、それでもルーフバルコニーを伝わる派生的な雑音に悩まされたものだ。

 最も、本人は何処でも寝れる大胆な性格と深夜までの長期勤務を余儀なくされる本業の特性から、あまり騒音に悩まされることなく日々を過ごさせて頂いている。

 ところで、思わぬ落とし穴に、エアコンの騒音を指摘したい。最近のマンションは、入居時に既に一家庭複数台のエアコンを設置するのが常識化している。このエアコンのコンプレッサーから発せられる音が、夏冬問わず隣家に寄せられるのだが、中規模のマンションだと100台以上の「モーター音」が昼夜問わず稼働している。

 考えるに、建設時には、許認可等相当神経をすり減らし、土日ならびに深夜の工事に及ばないよう騒音への配慮が為されていた筈なのだが、いったん竣工し、入居に至ると管轄する官庁が異なるのか、具体的な措置が取られずに現在に至っているようだ。

 さて、この騒音問題、工学的にこれを解消するための技術要素は存在する。自動車などでは、高速道路のつなぎ目から伝わる振動音や窓ガラスの隙間から漏れてくる風切り音にカウンターとなる周波数を当てて、音を制御している。日本の航空会社では、ファースト・クラスの一部で騒音制御を施したヘッドフォンを採用し、エンジン音をカットすることに成功した。マンションへの応用も検討してみてはどうか。