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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年6月18日付
こちら情報局

スターウォーズ

 映画「スターウォーズ」が初めて公開されたのは、一九七七年。この年は、パーソナル・コンピュータの組立キットが初めて発売された年であり、アップル・コンピュータが産声をあげた年でもある。

 元祖パソコン少年であった筆者は、多くの学生がせっせとバイトして貯めたお金を運転免許取得につぎ込む中、シャープのMZ-80Kなる組立キットを買い込み、真夜中に自宅の居間の隅で、はんだごてを握りしめ、悪戦苦闘。

 十数時間後、「ぶーーーん」という音とともに、命を吹き込まれ、緑色の英文字が浮かび上がる「知的生命体」を前に、異様な興奮に包まれたことを鮮明に記憶する。

 そんな筆者らにとっての「スターウォーズ」はグラフィックの世界の話であり、プログラミングによる平面の世界での出来事である。

 先週の日曜日、プレミアム試写会で「スターウォーズ・エピソード1」を観た。二十二年の歳月と経験をつぎ込んだ「ルーカス・フィルム」は、技術的な完成度を更に高め、翌日のメディアは、鑑賞した多くの芸能人、文化人の興奮冷めやらぬ様子を伝えている。

 唯一、偉大なる漫画家である赤塚不二夫先生が『つまらない』『夢がない』と語っていたが、物語の序章に対する期待が大きかったか、絵描きのプロとしての創造力がルーカスの描く世界に勝っていたのではないかと勝手に解釈させて頂いた。

 さて、本編が面白いかどうかは、今後「専門家の批評」に任せるとして、ここでは高らかに「ロボットの時代」の到来を宣言したい。

 本編に登場する労働型ロボット(ドロイド)の多くは、先頃発売されたソニーの「アイボ」のイメージの延長線上にある。二十二年前同様、多くの若者が立体的なロボットの製作にのめり込み、新しい時代を切り開く日が待ち遠しい。