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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年7月23日付
こちら情報局

外車のサイズ

 車を買い換えようかとカタログを集め、自動車評論の専門誌を眺めること数年。どうにもこうにも、気になることがある。

 いまでは、日本の市場が閉鎖的で、外国車を閉め出すといった「バッシング」はすっかり影を潜め、本国では左ハンドルなのに、日本では多くのユーザーの利便性に合わせ右ハンドルのみで販売するメーカーや、湿気に弱いバッテリーを品質の高い日本製に切り替えるなどの外車も多く、徐々に国産車からの乗り換えも増えている。

 が、どうにも解せないのが、自動車のボディ・サイズを巡る問題である。誰でも納得する高級外車であれば、それ相応の金持ちを相手に、大きな庭の横の、それこそ普通の一軒家が建てられそうなくらいのスペースにドッカと鎮座するものでも良い。

 問題は、日本市場への切り込み隊長であり、マーケットシェアを高めるはずの「戦略車」にある。ちょっと程度の良い「日本の高級車」と同等の価格であるため、少し無理をすれば一般庶民でも手が届く範囲にある。

 しかし残念ながら、優雅さを演出する上での妥協が出来ないのか、車のサイズを変更する意志がないようだ。特に都心の場合、駐車スペースの標準サイズは「縦5メートル、横1.8メートル」であり、機械式の上下駐車の場合、寸法のオーバーなどはもっての他。

 実は、予てよりデザインが気に入っている英国車の場合、縦のサイズが僅かに25cmオーバーしてしまう。先代の型式まではサイズ内に収まっていたのだが、安全面からダブルバンパーを採用したのが原因のようだ。

 日本ではデジタルビデオやパソコンの世界で、電池の寿命とサイズの最小化という二律背反を巡る競争が熾烈なのだが、外資には機会損失は問題にならないらしい。