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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年10月1日付
こちら情報局

台湾中部大地震

 筆者の「母国」台湾を大規模地震が襲った。通算すると日本に三十余年滞在し、今後も日本に永住する予定だが、両親を含め多くの親類縁者が台湾に居る。

 地震発生後、多くの方からお見舞いの電話や電子メールを頂戴し、日本と関わりの深い両親の安否を心配して頂き、誠に恐縮する次第である。

 幸い両親を始め、親戚一同に大きな被害はなかったようだ。しかし、台湾の全人口に占める被災者数を鑑みると、友達の友達で何らかの被災者が出ているはずであり、大変胸が痛む。

 まだまだ、復興に向け、台湾全土が一丸となって努力している最中であるが、まずは台湾国民の一人として、日本を始め多くの国々の皆様の救援活動と募金活動に厚く御礼申し上げたい。

 特に目を見張るのは、日本政府が各国に先駆けて派遣した国際救急援助隊員の活躍である。現地では珍しいハイテク機器を用いた効率的な救助活動が評判となっている。また、非政府組織(NGO)のボランティア活動でも無医村などへの細かい配慮やサポートがあると伝え聞く。そんな中、先週の日曜日には、心配されていた大規模な余震が発生。改めて災害救助の難しさと命を賭けた勇気ある行動に敬服している。

 台湾は七十年代以降、日本を始めとした諸外国との外交関係を結べずに、国際舞台では苦慮する場面が多い。しかし、「孤立無援」という懸念は、今回、多くの「人と人とのふれいあの輪」による払拭された感がある。

 皆さんの支援により復興への確信を強くする台湾であるが、それは紛れもなく阪神淡路地区の被災者と彼らを支援したボランティアの過去の経験が生きているからだ。 改めて隣人のサポートを心強く思い、友情の輪の大切さを学んだ。