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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年11月26日付
こちら情報局

沖縄ディズニー

 沖縄の基地問題を経済誌で取り上げてから5年。当時、ちょうど「戦後50年」の特集と重なったこともあり、広島、長崎に話題が集中しがちな八月十五日に、本土決戦が行われた沖縄の現状を再度問題提起したいとの一念で、編集長と直談判したものだ。

 当時のコラム主旨は世界の政治経済の趨勢を解説するものであり、沖縄は国内問題であるとの認識から一時は否定された。

 が、別の角度から見直せば、沖縄問題は「日米関係」であり、「アジア戦略」であり、「経済振興」であると熱く語り、掲載に到ったことが懐かしい。

 あれから5年、まだまだ多くの事が積み残されているが、基地問題の交渉に向け関係者の動きが慌ただしい。地元沖縄では、基地の固定化や環境保護を巡り、まだまだ紛糾しそうな勢いだ。

 今回の特徴は、返還跡地の利用だけではなく、移転先の経済振興も視野に入れていることだ。

 基地問題は、国家の防衛という視点と同時に、地元への負荷という角度からの検証も必要とされる。

 返還後の普天間跡地については、連載中の地元紙で「ディズニーのアニマルキングダム」を誘致してはどうかと盛んに働きかけている。

 「出ていってくれ」一辺倒ではなく、アメリカの引き続く支援を視野に、最強のテーマパークで平和への道筋をつくるという発想だが、これには日米双方トップの決断が何より重要だと思う。

 移転先については、周辺に航空機専門の整備拠点を設けるなど基地に依存しない財源確保が目標だ。

 巨大テーマパークが2つも入るような大きな基地が何十年も沖縄のど真ん中に鎮座していたことと、その機能が沖縄北部に移設されることを理解し、いずれその苦悩が解消される根拠を示すことが「振興策の基本理念」と信じる。