阪神淡路大震災:あれから22年(2017)

C2UQKZDUsAAmtVuあれから22年。

今年は、眠れず。

あの日、成人式に参加するために、神戸に戻った大学生も少なくない。

 

僕は、大手シンクタンクで、リスクマネジメントに関わっていたので、その後、暫く、本業離れ、ボランティアに明け暮れた。多くの東京の企業の皆さんからの静かな支えがあった

 

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②在京企業からの備蓄品搬送などの応援

東京の企業は、首都直下地震用の備蓄を放出。条件は、企業名を出さないこと 当時はインターネットの黎明期なので、ネットに参加する皆さんは少なく。活きた情報求め、ニフティサーブに繋ぎ、神戸と東京の企業人を結んだ 情報を収集し、一斉FAXで送信

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③ボランティア情報の一斉ファックス

一斉送信のFAXは、日立製作所から。担当副部長(その後部長)は、企業に、専門のリスクマネジメント部が出来た初めてのケース。1990年からの知り合い。 一斉FAXの宛先先は、広告会社から。元大使をサポートする課長さんからのご厚意に甘えた。

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④泊まり込み業務

本業を離れたが、会社からは給与が出た。会社の机と椅子を使わせて頂き、電源も。泊まり込み仕事を続けたが、査定も普段のままだった。その時に大学院卒業し、入社した新卒は、その2年後、僕のチームに。長くリスクマネジメントの仕事を一緒にした。今の番頭

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⑤まずは安否確認

震災の少し前に目が覚めた。徹夜続きで、寝が浅く。習慣でベッドサイドのテレビを点けていたら地震のニュース。スタッフが神戸にご両親が転勤して居住。早朝にどう伝えるか、暫く迷い、電話で叩き起こす。まだ電話が繋がっており、両親の安否確認が出来た

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⑥手のひらサイズ

早期の安否確認が、その後も、迷いなく復旧へのサポート可能なことを学んだ瞬間でもある。 早朝や深夜、冬の逃げ場、その後の火災延焼。緊急時マニュアルは、手のひらサイズへ。様々なアイデアが、ボランティアの間に浮かんだ。 それと弱者への配慮。

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⑦弱者の銭湯への輸送

道路が復旧しても、弱者が混乱する中、車椅子で、A地点からB地点の銭湯に向かうのは難しい。なので、車でのピストン輸送に、バイトに来ていた学生のネットワークを使い、時間を決め、A地点とB地点に人を集め、クルマへの乗車、下車を手伝った。

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⑧リスクマネジャーの養成

ボランティアはエンドレスになるので区切りが必要だ。始めるのも自分。区切りをつけるのも自分。宣言し、離れる。僕は本業で、震災からの復興、企業のリスクマネジメント体制の整備、プロのリスクマネジャーの養成へと舵を切った。マスコミを通じ、概念を拡散

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⑨首都直下地震

その後も、大きな震災が続く。首都直下地震という本番は、まだ来ない。 高齢社会になり、電車やバスが止まり、孤立するだけで、命に関わる時代。自らがどこにいて、何をしているのか、家族や介護関係者に「宣言」「伝達」することが大事となる。

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⑩帰宅困難者

いついかなる時という意味では、それぞれが自立して逃げる体制。3日ほど会社や学校、外出先(取引先や買い物、行楽先)で、サバイバル出来る体制。 夜、就寝する場所の近くに、メガネ、時計、普段飲む薬、ガウン、靴(外履き)、懐中電灯、自宅の鍵など。

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⑪マンション対応

マンションは、構造物が堅牢なのか。あるいは居住密度が高いからか。地域の支援からは外されている事実がある。自らがが備蓄し、サバイバルせざるを得ない。地域の被災支援は戸建てを基本としている。普段からの居住者の交流、共同備蓄は欠かせない。

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⑫共稼ぎ

自宅に介護者、子供を預けて共稼ぎなど。それぞれが誰の支援を受け、どのように連絡を取り合うのか。首都以外の、田舎や第二の故郷を決め、都心で輻輳を回避したい。そのためには故郷納税に、首都直下枠を設け、疎開先含めた交流の検討をお願いしたい。

 

連投していましたら、震災発生の時間が来ました。

(黙祷)


【現代リスク】「新幹線放火殺人」

DVC00211衝撃的な事件が発生した。

1964年に東海道新幹線が開業して以来、無事故だった新幹線。世界に誇る安全な乗り物で、乗客(容疑者)が放火し、本人を含む2名が死亡。火災により、煙を吸うなど、負傷者は26人となった。

 誰かが新幹線車両内で、油や有毒なものをまいて、車両ごとテロを起こす可能性は、以前から指摘されていた。

海外の事件事故例を参考に、乗降口と運転室出入口には、防犯カメラが設置されている。しかし、それらはモニターでの目視であり、運転手以外の車掌は、定員1300名余りに対し、わずか3名。限界がある。

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≪事件事故の概要≫

2015年6月30日、午前11:00に東京駅を出発したのぞみ号が、発車から30分後、小田原駅手前で緊急停止したとの第一報が入ってきた。

やがて、誰かが灯油のようなものを頭からかぶり、火をつけたこと。先頭車両の両側のデッキ付近に男女が別々に倒れていること。両方から点火したなら、テロではないかとの指摘がされている。

テレビは現場からの中継映像に切り替わり、随時入ってくる確認情報をもとに考えられるシナリオを提示する。だが、実際には、車内に乗り合わせている目撃者らの生のつぶやきが、SNSを経由で、よりスピーディーに手元に届く。

現場検証を終え、車両が自走して小田原駅に到着したのが、午後2時50分過ぎ。全乗客らがようやく下車した。メディアへの乗客らの証言により、さらに緊迫した車内の様子が明らかになる。

容疑者のポケットにある運転免許証のコピーから、都内在住の71歳の男性の犯行と判明した。また、残された荷物から、死亡した女性は、伊勢参りに行く途中だったという、横浜市在住の整体師だった。

 

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≪イシュー≫

事故の原因は、今後徐々に明らかにされるが、企業や官庁、個人へのリスクマネジメントにどのような影響が考えられるか。

(1)どうやって防げるのか

今回と似た車両放火事件は2003年、韓国・大邱市の地下鉄で発生している(192人死亡)。欧州では、ロンドンとパリを結ぶ国際高速鉄道「ユーロスター」のトンネル内で、トラック輸送用貨物列車で火災が発生し、その後の列車運行に支障を来した事例がある。JRでは2007年7月から、新型車両「N700系」に防犯カメラの設置をはじめ、各種安全対策訓練も行われているようだ。

しかし、安全とダイヤの正確さを謳う日本の新幹線では、乗車前に荷物検査を実施するとなると、現状のダイヤを維持することは出来ない。

また、全席指定にして事前予約が必要となると、利用者の手間も増える。

何かをやらかそうとする者と、それへの防護策は、いたちごっこの関係にある。結局、リスク回避を徹底することは、マネジメントコストを上昇させるため、その負担は乗客に跳ね返ってくる。

ドア・トゥ・ドアで考えた場合、大都市を中心に、東京~名古屋~大阪間がドル箱であり、インバウンド(外国人観光客)でも、ゴールデンルートと称され、利用頻度は高い。

海外では、「ユーロスター」が空港並みに乗車前に荷物検査を行い、決められた数、大きさの手荷物を越えて持ち込む場合には手数料を取る仕組みになっている。(注1:ユーロスター、手荷物取扱規約の変更)

また、中国では、列車テロへの警戒もあり、荷物のX線検査が行われている(注2:中国での手荷物検査)。大きな荷物を持ち込む乗客は、荷物をベルトコンベアに乗せ、並走する形で、荷物検査を済ませる。(他に、高速鉄道のチケット購入には、各自の身分証の提示が求められる)

 

(2)荷物検査は必要か

事件後に、荷物検査の必要性が議論されている。誰もが、検査は今後必要になると考えるが、検査を行う手間と時間は、利便性と相反する側面を持つ。定員1300人超、最短3分間隔で運行を続けている今の状況で、果たして荷物検査が出来るのか。

少なくとも、発車ベル直前の駆け込み乗車は出来なくなる。

また、荷物を預け、降車駅のターンテーブルでピックアップするなども、事前の荷物管理方法等を考えると現実的ではない。

仮に事前に荷物をスキャンする体制を整備するにも、駅という限られた既存のファシリティの中で、新たな機器の導入は、初期コスト、スペース、さらにはオペレーションコスト(マンパワー)の増大などを含み、様々な困難を伴う。

 

(3)過密ダイヤをどう維持するか

大きな事件事故が発生すると、一時的に移動手段の見直しを行うのが利用者の心理だが、チケット手配やドア・トゥ・ドアでの効率性を考えると、新幹線は便利である。昨今、マイルの導入やLCC(格安航空機)の登場で航空業界も巻き返しを図っているが、駅からのアクセスを含め、トータルで新幹線が飛行機を凌駕する時代になっている。空港は郊外に立地し、街中心部への移動に時間がかかるほか、荷物検査など含め、待ち時間が多く、天候(豪雪や濃霧、台風など)に左右されやすい。

飛行機は、機体の大きさにもよるが、国内線では座席数が100席から多くても500席程度。一方の新幹線は、16両編成で1323席。それも、東京-名古屋-大阪という大動脈で、何らかのアクシデントがあるだけで、振替輸送を含め、半日~1日影響が出る。

この大動脈は、今回のような事件だけでなく、首都直下地震や活火山の噴火・降灰などでも影響を受ける。かつて、東名高速の中央分離帯に、第二の新幹線、あるいは貨物新幹線を造る案が議論され、リニアモーターカーによる代替案なども模索されているが、これらの実現は少し先になる。

もう一つは、バスなどを自動運転にして、高速道路を使う考えだが、現状でも深夜バスを含め、季節や時期により渋滞する。まして、バスの定員が50人とすると、1000人を運ぶには20台。これらが3~5分ごとに走り、大きな駅で乗客を降ろす。無理な話である。

 

(4)不満殺人

今回同様、車内で液体をまいて焼身自殺をした例は、2003年、長野県を走行中のJR中央線で発生している(この時は、ほかの乗客は全員無事)。さらに遡ると、1980年の新宿バス放火事件などがある。

世の中への不満、あるいは自分自身の仕事や生活の躓きでは、本人が命を絶つだけでなく、周りを巻き込むなど、より過激になる。

容疑者は、暫く前に仕事を辞めた(高齢で退職になった?)とも漏れ伝わる。普段はおとなしく、何かをしでかすとは思えない人物像。生活が行き詰ったのか。

一方で、ゴミ屋敷と称する住民もいる。片付かない、片づけられない、余裕のない日常は、誰にも訪れ、どこかで共通する課題がある。

新幹線の先頭車両を、カートを引きながら行きつ戻りつする容疑者の風貌は汚れ、浮浪者にも見えたようだ。

不審者に声がけし、それでも防げない現状。個人情報をどこまで管理し、その言動をどこまで制御しないといけないのか。

被害に遭われた方の、驚きと戸惑い。超高齢社会の新しい課題が浮上したともいえる。

 

(5)輸送会社の改善

のぞみ号の場合、先頭の3車両を自由席にしているのは、グリーン車などがホーム中央の階段口付近に停車し、なるべく改札までの歩く距離を短くするためである。

しかし、運転台に近いことや、運転台への侵入に特別な措置を施していないとする専門家の意見が正しいとするならば、運転台に近い先頭車両を、自由に行き来できる仕組みにすべきかは、要検討となる。

また、どこの車両から入っても、先頭から後尾まで、誰でも自由に行き来できる、かつての汽車時代の名残は一掃させることも検討できよう。

チケット購入時の身分証の提示や、顔写真とチケット購入者の一致、デッキなどで、不審荷物の確認、あるいは荷物を車両内に持ち込めないよう車両の下半分に納める(長距離/空港バス方式)など、若干の改良などにより、徐々に改善が可能だ。

数年に一度のランダムな出来事なのか、いったん発生したら、模倣犯が登場するのか。東京オリンピック2020年の本番、あるいはインバウンド(外国人観光客の誘致)に向け、再検討が求められる。

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<参考サイト>

注1:ユーロスター、手荷物取扱規約の変更(ヨーロッパ鉄道旅行ガイドサイト)

http://www.railguide.jp/news/2014/01/post-69.php

 

注2:中国での手荷物検査(エイビーロードサイト)

http://www.ab-road.net/asia/china/beijing/guide/traffic/08388.html

 

 


【現代リスク】台湾レジャー施設での爆発事故

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台湾のレジャー施設のイベントで、粉じん爆発が発生。500人超の被害者の大惨事となった。

隣国での混乱は、マネジメント不足で発生したものなのか。

 

 

実は日本でも、身近で起こりうる事象であり、国内イベントも同事故をきっかけに、既に中止となったものもある。

以下、事件事故の概要と、想定しうる企業や個人への潜在リスクを分析する。(2015年6月30日、11:00現在)

 

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≪事件事故の概要≫

台湾北部の新北市にある遊園地のプール「八仙水上楽園」で、2015年6月27日夜、粉じん爆発が起こり、500人以上が火傷を負った。

粉じん爆発の発火原因は究明中だが、会場で行われていた音楽イベントで大量にまかれたカラーパウダーに引火したと見られる。パウダーの原材料は、トウモロコシの粉に着色したもの。

パウダーには、火気の傍で使わないように注意書きがしてあり、主催者も2年前に警察から使用上の留意など警告を受けていたことから、危険性を認識していたのではないかと現地メディアが批判している。

事故発生直後には、140台の救急車が出動し、458人(重傷97人,輕傷361人)を27の病院へ搬送した。なかには、救急車の到着を待てずに、自力で病院に駆けつける人も見られた。(注1:事故直後の搬送状況(地元メディアの報道))

邦人女性2名も火傷を負っているが、命に別状はない。他に、香港や中国、シンガポールなどからの観光客や留学生らも事故に巻き込まれた。

事故現場には、タバコの吸い殻やライターが散乱。他に、音響設備の過熱、照明器具(投光器)の過熱などが、火だねとして指摘されている。

なお、粉じん爆発は、①火だね、②閉鎖された空間。屋外でも空気が流れない場所、③酸素などの供給、④散布による空気接触、⑤可燃性粉塵(ここではカラーパウダー)で発生すると現地専門家が指摘している。

 

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≪イシュー(想定しうる潜在リスク)≫

事故の原因は、今後徐々に明らかにされるが、企業や官庁、個人へのリスクマネジメントにどのような影響が考えられるか。

(1)イベント主催会社の危険性認識

今回の事故について現地では、管理側の手抜きなどがメディアで報じられているが、日本のイベント会社も驚きを持って事態を受け止めている。

実際、日本で開催されるマラソン大会やライブコンサートなどでも、カラーパウダーを吹き付けることが行われている。(注2:今回の件を受けて、ローソンHMV エンタテイメントでは6月29日、7月開催予定の「Coloa Me Rad HOKKAIDO」(カラーパウダーを浴びながら走るイベント)の中止を決定」)

台湾でのイベントは水を抜いたプールで行われ、天井もない解放された空間だったが、観客が密集し、粉じんが足より下にたまっていくことで、密閉状態がつくられたとみられる。

主催者側は、イベントを盛り上げるためにも、より多くの観客が集積するよう演出する。観客が集まれば集まるだけ儲かるし、イベントは成功したことになる。このあたりの歯止めをどうするか、空間(スペース)に詰め込む人数は、時々、酸欠を引き起こすコンサートからも、熟慮すべき問題となろう。

 

(2)主催者、プールを貸したテーマパーク側の補償問題

テーマパーク側は、イベント会社に場所を貸し出しただけとし、事故発生直後、深夜の会見で、自社(テーマパーク)側には過失はないと説明した。

一方のイベント会社の責任者は、当日の風が強すぎたとメディアの取材にコメント。その後、主催者側の責任者や舞台演出家、機器操作の責任者らが警察に拘束されている。

治療費などを含めた被害者への補償はこれからだが、保険会社の保険範囲だけでは支払いきれない額に上る。

夏を迎え、国内でも各種大型イベントが予定されているが、マネジメント側の対応、保険や補償などの再考も求められよう。

 

(3)病院搬送と病院の受け入れ態勢

新北市市長は事故後、近隣都市へ救援を要請している。

救急車の手配が追い付かず、個人が搬送するケースもあった。1万人規模のイベントで500人の負傷者が出たが、これだけで病院が満床になった点などが現地メディアで指摘されており、さらに大きなイベントでは、どう対処するかが問題となっている。

また、若者の悲惨な火傷に遭遇し、病院スタッフにも心のケアが必要との指摘もある。

 

(4)コミュニティでの自律システム

台湾では兵役があるため、予備役を含め、緊急時に動けるトレーニングが実施されている。また、ボーイスカウトやガールスカウト、学校での教育啓蒙を含め、コミュニティへの貢献意識が高いといえよう。

他人をケアする姿勢は、東日本大震災での多額の寄付、ボランティアで来日し、静かに清掃をする台湾の若者らの行動から見て取れる。

はたして、緊急時に、一定の知識を持ち、素早く動ける体制を取れるのか。迫る首都直下地震に向け、トレーニングの仕組み、システム化が求められよう。

 

(5)総統選挙への影響

新北市は、国民党(与党)の朱立倫氏が市長を務める。市長は現在、国民党主席でもあるが、2010年の市長選では、次期総統選の野党候補となる蔡英文氏を破って当選している。(注3:2010年10月に直轄市に昇格した新北市。同年11月末に行われた選挙で、蔡氏は惜敗。)次の次への自身のポジションにも影響してこよう。

事故への対応、原因究明と罰則などを有権者が監視しているなか、病院を見舞った馬英九総統が失言した。

火傷を負った被害者に、「当日は、短パンだったの?」と声をかけ、プールでのイベントにも関わらず、まるで、長そで長ズボンならば被害を軽減できたのでは?とも受け取れる発言に、メディアは批判的な報じ方をした。

被害者のバックグランド、残された家族の状況が報じられ、政府の対応に厳しい目が向け始められる。これらは、来年(2016年)1月の総統選挙へも影響を与える。

 

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≪ 脚注 ≫

注1:傷患自行就醫 馬偕醫院爆滿 (中華電視公司、2015/06/28 06:56 )http://news.cts.com.tw/cts/general/201506/201506281629919.html#.VZKyfpUVgid

 

注2:今後の「Color Me Rad」の開催に関するお知らせ(株式会社ローソンHMV エンタテイメント、2015 年6 月29 日PDF)http://colormerad.info/pdf/20150629release.pdf

 

注3:5つの直轄市の市長選挙で国民党は3議席、民進党は2議席を獲得(台北駐日経済文化代表処、2010/11/29)http://www.taiwanembassy.org/JP/ct.asp?xItem=170768&ctNode=1453&mp=202

 


【海外リスク】海外出張、危険は直ぐ隣に(日経産業新聞5月1日付)

⒒.日経産業(iPhone)

 

少し前ですが、日経産業新聞の取材を受け、「海外出張、危険はすぐ隣に」として、掲載されました。

2015年5月1日(金曜日)付

以下、要点を捕捉しながらの解説。

 

(最近のケースだと、韓国のMERS、中国の揚子江での客船事故転覆などを想起し、置き換えること)

 

 

 

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日系企業の活動がよりグローバル化し、中小企業も否応なく海外へと向かう時代。危険な場所でも、売り込みに行けと発破をかけられる。

 

大手企業(メーカー)も商社などを見習い、様々な困難を経験し、自社のリスクマネジメント体制を構築してきたが、中小企業、新興企業(ベンチャー等)では、まだそこに至っていない。

 

かつて、90年代、まだ大丈夫だと高をくくっていたら、商社マンはいなくなり、同業他社メーカーもリスク対応していた。これに対し、のんびり構える自社の体質に辟易して、転職がよぎる。実際に、帰国後に退社した人も少なくない。

駐在員はそれなりに危険を察知するようになるが、急な出張先、不慣れな国。あるいは海外出張初心者では、どんなことに留意すべきなのだろうか。

 

(1)シグニフィカントデー(重要記念日)

海外出張や旅行でまず考えるべきは、祝日や祭日。大型連休に当たると仕事どころではないし、公共交通機関が人であふれかえる。

あと、大型イベントや展示会があるときなどは、ホテルが取りにくい。

インドやパキスタンなど、地域によっては、年末になると、列車の襲撃や爆破が起こる。特に国境沿いの紛争地帯では、それぞれの民族が、普段は普通に仕事や生活をしているのに、物騒になる瞬間が訪れる。やられたらやり返すなど、それぞれの地域での過去の出来事を把握し、巻き込まれないことも大事になる。

誰かが殺された、国が始まるきっかけとなった革命、隣国との紛争で勝ったなど歴史的にも重要となる日には留意が必要だ。同じく、それらが日本とどういう関係性を持つのかを考えておく。

 

(2)同じキーワードを含んでいる事件事故

米国で白人警官が黒人少年を手荒に扱ったり、死亡させたケース。それらが、キーワードとして注目されることで、類似ケースの発生に対しナーバスになり、デモなどの圧力と、その取り締まりで、次の事件を誘発する。

もともとあったものなのか、あるいは事件を契機にさらに増加したのか。原因と背景の特定は困難だが、注意喚起が必要だ。

 

(3)上司の武勇伝を鵜呑みにしない

初めての海外出張、海外旅行で、上司や同僚から色々な経験談を聞くだろうが、現在と当時では、若干、事情が異なることもある。だからといって、ネットで検索した「武勇伝」をそのまま鵜呑みにすると、こちらの外見や、たまたま出会った人との交流だったりする。

日本で危険なことは、現地でも危険である(深夜の辺鄙な場所でのトランジット、タクシーやバス待ち)。親しげに話しかけてくる外国人の日本語がうますぎる場合、留意が必要だ。

 

(4)他国の海外安全情報に接する

もう一つは、外務省などが海外安全情報を発表しているが、旅行会社や国と国の関係で、あまりに早い段階で「あの国は危険です」といった警告は出しづらい。

できれば、米国や英国が提供する安全情報に接することを薦める。米国では、CIAファクトブックというのが一般的である。ただし、それは、欧米諸国から見た欧米人への注意喚起であり、アジア人(日本も中国も韓国も台湾も香港も、欧米人からは区別がつかない)には、通じないケースもあるので、置き換えて考える。

 

(5)無理なスケジュールを避ける

日本からのヨーロッパ便は、トランジットのためのハブ空港に到着すると、日本時間では夜中の02:00、03:00になる。そこからさらに乗り換えて目的地に向かうと、現地到着は日本時間の翌朝05:00あたり。日本出発から考えると、24時間起きている状態になる。

海外出張前には、寝不足の日々。さらに前日準備で徹夜すると、二日間寝ていないことになる。そして、機内で酒を飲み、映画を見てはしゃいでいたツケが到着後に巡ってくる。

旅慣れてくると、ビジネスクラスで十分にリラックスし、現地での仕事に備えるが、海外出張初心者はエコノミークラス。狭い機内で十分寝られず、周りの騒音や旅行気分に引きづられ、ついつい気が緩む。

予算や日程など会社規定との兼ね合いもあるが、自分の身は自分で守り、格安チケットでは、トランジット時間が通常より長い場合もあり、ハブ空港(スキポールやシャルルドゴール)が便利だからと、無駄な時間を過ごす必要はない。

夏休み期間などには、空港そのものが、トランジット用のビジネスエリアの改装を行っている場合もあり、十分に休めない(閉じた空間、充電施設、シャワールームなど)のケースも少なくない。

 

(6)仲間内でつるまない

仕事の交渉が終わり、現地駐在員とちょっと一杯、お疲れ会をする。日本では当然の商習慣であるが、旅の思い出、旧交を温め合うなどで、つい数人でつるんで、店へ行く機会も多いだろう。

場所にもよるが、日本人同士、日本語での接待文化。店側もぼったくりやすい。こうしたぼったくりのトラブルをいくつも聞く。

最新ケースでは、中国の東北地方に、現地採用のために出向き、ぼったくりと分かって店を出ようとしたが、なかなか出してくれなかった例などがある。(飲んでいない空のビール瓶が机の下からごっそり出てくる。店の従業員への多額のチップを要求するなど)

リゾート地を訪れているのであれば、週末や夜用に、スーツではない服装を用意することも一つの発想だが、皆がスーツ姿でネクタイを外して歩いているなか、一人だけリラックスしたファッションも浮いていて、逆にターゲットにされやすい。

同僚や上司とつるんでいるときは、仲間内への配慮に意識が向かいがちだが、そこは冷静に、周囲の環境、特に、スリには気を付けたほうが良さそうだ。

 

(7)PCのパスワード管理、帰国後の変更

アポ先に出かけるときは、面倒だが、荷物=トランクの中に、貴重品やPCをしまっておく。カギをかける。万が一なくなっても大丈夫な内容のものを、出張用のPCにする。

(基本姿勢として、滞在ホテルの部屋は、清潔に整理整頓しておく。荷物が動かされているかを確認する)机の上にわざと小銭、お菓子、飲みものを置いて、チェックする。

 

もう一つは、パスワードが机の上の天井に設置されたカメラから盗み取られるケース。社会主義国、共産圏で、かつてあった手口だが、帰国後に、ログイン履歴などから身に覚えのないアクセスがあることで発覚する例もありうる。あらゆるところから、パスワードが見られていることに留意すべきだ。

 

(8)出張先の週末

タイトなスケジュールが無事終わり、“魔法の一日”がある場合は、留意が必要だ。週末だからと郊外に足を伸ばす、現地駐在員や現地採用の同僚が運転手を買って出る。

あるいは、借り上げハイヤーで一日ドライブ。

それよりは、ホテルお勧めのプランで一日観光するほうが確実であり、安全かもしれない。

無理なスケジュールで疲労がピークのときのリラックスには留意したい。

 

金曜日や土曜日、繁華街のクラブやレストランに、白人が多く集合する場合、それらが軍関係者であれば、爆破テロの標的になりやすい。

 

(9)帰りの空港

最後の最後に、スリや置き引き、偽物をつかまされるケースが後を絶たない。最新のiPhoneやアップルウォッチ。本物を見せてから受け渡すのは、グーグル稼働のなんちゃってというのもある。

ブランド品のコピーなのは分かっているけれど、つい購入。同僚への受け狙いのつもりだとしても、日本入国後に、没収される。

 

世話になった同僚から頼まれた日本への荷物。なるべく送ってもらうにこしたことはない。まして、空港で一緒になった人から、荷物が超過しているので、日本まで持っていってくれなどは、もっての外。

荷物に麻薬など違法なものが入っていると、摘発され、問答無用で有罪に。アジア諸国では、死刑判決にもなりかねない。

(海外旅行のケースでは、タイでトランジットして豪州に向かうツアーで、参加者全員がタイで旅行鞄を盗まれ、旅行会社のツアー担当者が急遽新品の鞄を買ってきたが、その旅行鞄の中に麻薬が仕込まれていて、豪州で有罪となったケースなどがある)

 

(10)会社側のマネジメント

上記は、出張者からの見立てだが、会社側としては、TOEICの得点だけでは、契約や交渉に不可欠な英語力は身に付かない。難しい交渉には、通訳や英語の得意なスタッフを派遣することを検討するのがよい。

そのとき、現地で英語が出来なくても、意思決定可能な経営層の同行。スピード化が欠かせない。

 

また、社員が今、どこに出張し、スケジュールはどうなっているかの把握。社員が自分で航空券を手配するのではなく、会社経由で購入し、第三国などへの出国を含め、管理する仕組みの構築。

 

あと、守るのは、正社員までなのか。アルバイトスタッフは?さらに子会社、孫会社については、役員までなのかなどの規定を設ける。緊急時に、どこまでが自社として守る範囲なのかを特定しておくこと。

 

リスクマネジメントにはコストがかかるが、ビジネスの仕組みとして整備することで、従業員、取引先の信頼を得られる。

 

以上

 


海外出張&旅行のリスクマネジメント

週刊ダイヤモ201306041035ンド2月15日号で取材されたものを少しまとめたいと思います。

出張や旅行などで、海外に出向くときのリスクマネジメントの留意事項。

 

私が、10年超連載していた「現代リスクの基礎知識」(日経BP社、2001年~2011年)を見て問い合わせてきたようです。(リストは文末にリンク貼りました)

少し、振り返ってみると、

第126回 海外リスク対応の新たな動き~ハワイ地震、トルコ・バス事故 (2006/10/24)

第139回 海外渡航時の個人のリスクマネジメント (2007/05/15)

などで、「リスクリテラシー」の在り方に触れています。

以下、記事では、伝えられなかったことも含め、再度整理してみました

(1)海外出発前の状況=睡眠不足、(2)現地情報を事前に良く取得する、メモする、(3)ビジネスクラスの利活用、(4)十分なスケジュール=トランジットと時差、(5)パスポート、セフティボックス、(6)服装や移動手段、(7)スマホ撮影時=スリや交通事故、(8)危ない空気で引き返す努力、(9)さらなる思わぬ落とし穴、(10)むやみに荷物を人から預からない、(11)過去のリスク事象を知る、(12)ビジネス出張と個人旅行。

(7500文字とやや長いですが、ご容赦ください)

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(1)海外出発前の状況=睡眠不足

出発前ですが、徹夜が続きます。一週間~10日、仕事や家を留守にするわけですから、あれもこれもと無理をしたがります。

どうせ、機内で寝れば良いと考えていることでしょう。しかし、機内では、映画があり、食事や飲み物はいつでも持ってこられる。非日常的な空間が重なり、なかなか寝られません。

寝不足に寝不足が重なるということは、リスクが増えます。物理的、肉体的に負荷がかかります。そして、適性な判断が難しくなる可能性があります。

大事なのは、出発前に無理して、睡眠不足にならない。

あるいは、機内で十分に睡眠をとることを肝に銘じることです。

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(2)現地情報を事前に良く取得する、メモする

団体ツアーで海外について行くのはさておき、それでも自由時間があります。どこに行くのか、その日に行きあたり場たりにならない工夫が大切です。

(機内では睡眠とイイ、事前にはあまり無理せず、さらに現地下調べは、トレードオフ関係なので、やはり海外出張・旅行は、徐々に慣れることが大事です)

いま、どこにいるのか、どちらの方向にどのような危険な場所があるのかを良く把握します。

(良くあるガイドブックだけを過信してはいけません)

最近の傾向として、多くは、日本のサイトを検索し、日本語で下調べをするでしょうが、その中で、おススメは、海外安全サイトです。

➡海外安全情報(外務省)http://www.anzen.mofa.go.jp/

ただし、どうしても、ワンクッション遅れるのが日本のサイトです。日本からの観光客が現地の経済に与える打撃は大きく、あるいは日本の旅行業界への影響も大きいことから、慎重に成らざるを得ません。

なので、海外サイト、特に、英国や米国の自国民向けのサイトを見ておくことをおススメします。

➡英国 https://www.gov.uk/foreign-travel-advice

➡米国 http://travel.state.gov/content/passports/english/country.html

(ただし、これらは、英国や米国から見ているカントリーリスクに留意です)

(調べたものは、アポ先などの確認を前日にし、メモなどに残し、当日持ち歩くときに、ノートを開くのではなく、すぐに確認できる程度にしておく)

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(3)ビジネスクラスの利活用

ビジネスで行くか、エコノミーで行くかの判断には迷うところです。ビジネスクラスの価格は、エコノミーの倍。欧米だと、50~70万円になります。

それだけのコスト負担を、安全を考え二名で向かわせるとしたら、かなりの出費になります。

あるいは、到着後のホテルのクラスをもっと上げる。滞在先で、快適に過ごしたい。ただし、トータルの予算も考えるなどいろいろあるでしょう。

滞在日数を増やすために、もっとも抑えられるのが、航空チケットとなります。

私の発想ですと、往復の航空機をケチらない。出来れば、ビジネスクラスを利用する。そのためのアップグレードに備え、日頃、航空会社のカード(支払い後にポイントが加算されるもの)を多用し、貯めておくことをおススメします。

ビジネスクラスへの搭乗や四つ星以上のホテルへの滞在は、現地の交渉相手やアポ先からすれば、まともな取引先かどうかを見るという時にも使われます。

(欧米では、スーツ、時計、メガネ、靴などと、立ち振る舞いなどもチェックされます)

もう一つは、ビジネスクラスでのフライトアテンダントやパーサーらの立ち振る舞いです。食事や飲み物、その他をどのようにサービスしているのか。私たちは、サービスを利用する側ですが、提供する側は、狭い機内、ゆれるかもしれない天候のなか、離陸から着陸まで、どのようにサプライチェーンを実施しているのか。

ビジネスヒント満載であるともいえます。

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(4)十分なスケジュール=トランジットと時差

現地での時差などは良く留意すべき部分です。帰国後の時差ボケは、まだ、勝手知ったる本拠地ですが、海外ですと、地理的にも不案内ですし、カントリーリスクがまちまちです。

そのためには、太陽が昇るとともに、お日様を浴びる。体内時計をリセットすることが肝要です。

何時に出発し、どこでトランジットして、実際に現地のホテルで寝られるのは、何時ごろか。

自らの体力や冒頭でお伝えした睡眠不足などを考慮し、スケジュールを組み立てましょう。

特に、盲点となるのは、トランジットです。大きな空港であっても、数時間待たされます。

最近の流行りは、荷物を機内に持ち込み、颯爽と空港を後にすることですが、小さくもないバッグを機内に持ち込み、さらにビジネスバッグやお土産、ハンドバッグなどを持つと、荷物が三つ四つと増えてしまいます。

その状態で、空港のパスポートコントロールを通過し、テロ対策の赤外線センサーを通す。そして、レストランなど空港内で数時間過ごすのは安全ではありません。

荷物が出てこないリスク(ロストラゲージ)は、念頭に。ですが、荷物は最終寄港地に届くことを確認し、航空会社に預けることが肝要です。

なお、テロ対策のために、機内持ち込みの鞄や財布、あるいはジャケット、パソコンなどを赤外線センサー通過の場所では、後ろの人にすられる可能性もあるので、自らが留意し、同僚や同行者がいる場合には、お互いが確認しあうことも大事です。

(繰り返しますが、日本から出発して、既に12時間が経過し、トランジットするときには、01:00である可能性があります。そこから、2時間、さらに空港からホテルまで到着すると、04:00などがスケジュールとなります)

(あと、細かいことですが、国内の時間と、海外の時間。そして、現地着いてからは、海外時間をメインに、国内時間を予備で書いたスケジュールの一覧表がないと、曜日を間違えたりします)

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(5)パスポート、セフティボックス

パスポートは、持ち歩かない。セフティボックスに入れることは、多くが留意するでしょう。

そのためには、コピーを2枚ぐらいとっておき、カバンやジャケットに入れておきます。

(買い物などするときは、コピーを見せ、買えないときは、諦めます。そもそも、免税のための手続きなので、パスポート番号と帰りの航空機のフライト番号を示せれば買えることはあります)

しかし、その金庫にしまったパスポートを帰国当日に慌てて忘れることが多々あります。

それを回避するためには、ドアノブに、紙で金庫、パスポートと書いて、貼っておくことです。(紙にアナをあけて、ドアノブの内側にドントディスターブのように挟んでおきます)

私が経験したものですと、電池切れで前日早朝までに開けられなかったことがあります。場所は、米国西海岸。サンフランシスコ。かなり、おしゃれなホテルでしたが、電池切れは避けられません。

前日の朝に、念のために開けたら開かず。これが出発の当日だと、確実にアウトです。そこから10:00ぐらいまで待って、修理する方が到着。なんだかんだ弄って、電池切れとして、電池を直して、帰りました。

ですが、もしやお思い、再度、金庫に何も入れずに、閉めて見ましたら、開きません(笑い)。

念には念を入れることの大切さを実感しました。

なお、海外の多くは、部屋の中にセフティボックスがありますが、そうでない老舗五つ星ホテルなどでは、パスポートを預けるのではなく、高価な宝石などを預けるための場所です。

文化の違いがあります。しかし、安全を確保するためには、預けることをおススメします。

また、パソコンなど、貴重品は、スーツケースやバッグに入れて、鍵をかけます。できれば、毎日清掃に入ってもらわない。ドアノブには、「ドントディスターブ」をかけておきます。

部屋は契約し、確かに自分の「安全に休める場所」ですが、合いかぎで簡単に入れます。

以前、チェックインしたら、まだ前の宿泊者が滞在していました。鉢合わせしませんでしたが、海外だと撃たれるリスクも存在します。

相手がまだチェックアウトしていない部屋へ通すことは、日本ではありえず。そして、海外ではマニュアルに従い、ヒューマンリスクなどもあるから仕方がないことと反論されて終わりです。相手は、けっして謝らず、ミスを認めたりしません。

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(6)服装や移動手段

日本で着ている洋服、あるいは雑誌で見ているようなカッコいい洋服で、海外に出かけたい。お洒落をしたいというのは、理解できますが、あまり好ましいことではありません。

派手な鞄やジャケット、マフラーやスカーフは、めぼしを付けられやすく、複数で狙う場合の目印になります。

なるべく、現地でのトーンに合わせます。また、文化的な差異から、好奇の目で見られないように、現地の習慣に合わせます。

南アジアなど現地の慣習から、男尊女卑のケースもあります。親しみを込めた対応が、少し距離が近い場合もあるので、距離の取り方に気を付けたいと思います。

私の場合は、米国の東海岸、西海岸、欧州では、着ていく洋服を変えています。出来れば、現地で購入したものを、次のときに、持っていくなど、ライフスタイルを合わせると良いでしょう。

移動ですが、ホテルからタクシーが基本です。

ホテルからのタクシーは高いですが、これは安全コストと諦めてください。

帰りの場合、アポ先でお願いするか、来たときのタクシーにしばらくまってもらう。

あるいは、一日契約で、値段交渉をします。

レストランを訪れた際も、流しのタクシーを使ってはいけません。

これらは、学生時代に、バックパック旅行で、冒険をした人ほど、軽視することです。初心忘れずに、緊張感を持った海外滞在が基本となります。

(ビジネス出張では、その分のコストも含めて、海外出張を計画します)

(移動距離が長い場合、持っている書類や経営情報などの管理も大事となります)

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(7)スマホ撮影時=スリや交通事故

旅行先での記念撮影は、かつては、帰国後に現像してというのが一般的でした。今は、食事シーンや街並みなどは、その場でアップして、国内の有人や知人、或いはツイッターで共有したいところです。

かつても、撮影時は無防備になると言われていましたが、いまは、さらにアップの時間がかかりますので、無防備は倍増します。

撮影時には、持っている鞄やリュックなど、背後が無謀にになります。

ジーンズの後ろポケットにiPhoneなどを入れておくと、すられることもあります。携帯電話やスマホは、海外ではまだまだ貴重な希少なものである自覚も必要です。

また、欧州では、都市交通が、バス、自動車、バイク、自転車、路面電車、歩道と別れている場合もあり、ヘタに振り向く、道路に出ることで交通事故に合う可能性があります。

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(8)危ない空気で引き返す努力

海外のどこが安全か、危険かを、現地到着して検索しても、臨機応変に対応できるとは限りません。

一つ留意すべきは、駅や公園です。

駅は移動に便利ですので、列車での旅では、どうしても駅周辺のホテルを選びがちですが、周辺には出稼ぎも多く、スリなどのターゲットになりやすいことに気を付けてください。

公園では、麻薬の取引などが昼下がりにも、頻繁に起きたりします。

駅から離れているといっても、ホテルから、駅まで徒歩圏で、旅行鞄を引きずってあるくのも、時間によりけりとなります。

高速鉄道や列車などで駅に到着した場合、ホテルまでの道のりは、歩くよりタクシーが安全と言えます。

これらは、空港到着時にも言えることです。

もう一つは、街中を散策しているときに起こります。ふらっと歩いていると、景色が変わる場所があります。

街灯や店の灯りが消えたりする。人通りが途絶える場所。

それは、現地の人も敬遠していたり、過去にアクシデントがあり、繰り返し、ものを破壊されるところだと自覚してください。

万が一そうでなくても警戒し、今来た道をすぐに戻ることが肝要です。

なお、道に迷って、駅でホテルまでの行き先を聞いて、被害にあった方がいます。

(インドに二週間以上滞在で、街になれたとことで、美術館の帰りの欧米人の女性でした)

誰に、どう道先を訊くのか、複数の人がたむろしていても、集団で襲われるケースが少なくありません。

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(9)さらなる思わぬ落とし穴

私の場合、仕事柄海外が多いので、いろいろなアクシデントに見舞われ、生還しています。

あるときは、飛行機が隣の島に不時着しました。ポルトガル領のマデイラ島に行くときですが、不時着し、小銭がありませんので、電話もかけられず。

ロンドン空港からビジネスクラスでのトランジットでしたので、隣が裕福な方で、小銭を恵んでもらいました。

小銭がないでの、飲料水を自販機から買えず、ホテルへの電話などには不可欠です。

(空港に閉じ込められるという意味では、昨日(=2月9日~10日)の成田空港や羽田空港に豪雪で閉じ込められた皆さんは、飲み物、食べ物がなく、大変な思いをされたと思います。)

(私が観光や起業・投資で沖縄のサポーター、広報=美ら島沖縄大使を務めていますが、沖縄などでも、台風時に、空港に閉じ込められる方が多々おります。沖縄の心優しい皆さんは、台風で空港で一泊を余儀なくされる観光客、ビジネスパーソンを自宅に泊まってもらう運動を展開しています)

鞄の中には、いざというときのために、スナック菓子や飲料水を忍ばせておくことをおススメします。(空港での没収に気を付けながら)

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(10)むやみに荷物を人から預からない

日本の市議が中国からの帰国時に、スーツケースから麻薬が出てきたことは記憶に新しいところです。

頼まれたからという理由では、無罪放免にはなりません。空港のカウンターでは、他人から頼まれたスーツケースはないかが問われます。

しかし、同じツアーで一週間一緒にいた、エコノミークラスで荷物に税金がかかるので、機内に持ち込むまでと頼まれたら、断りきれないものです。

これを断ることが、自らの安全安心を確保することにとなります。

盲点としては、海外滞在の方から、母親にと荷物を預かる、あるいは、こちらにいる家族から、持って行って欲しいと頼まれたものなどです。

これらは良かろうと、持って行ったりすると、思わぬ落とし穴が待ち受けています。

市議のケースでは取引先の方から、サンプルを航空機で運ぶことを依頼されています。これが本当かどうかは別にして、多くの国では、麻薬の持ち運び使用は、重罪となります。

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(11)過去のリスク事象を知る

冒頭で伝えましたが、再度、書きます。

現地滞在時には、その場所での記念日などに留意します。

攻撃された側は反撃をし、さらに攻撃を受ける。民族紛争などが繰り返されます。

重要記念日などでは、繰り返し報復が起こります。

また、年末年始など、列車事故が多発する場所も少なくありません。

金曜日や祭日の前日などは、米軍施設や欧米観光客が集まるクラブやディスコ、バーやレストランなどが爆弾テロの犠牲になることが少なくありません。

リゾート地には、米軍関係者が休暇で訪れるため、被害にあうケースも多々あります。

せっかくの楽しい旅行、ビジネス出張で経験を積もうとしているとき。オンタイムとオフタイムをうまく使い分けたいところですが、地味に質素にが基本となります。

なので、日没後は、ホテルライフを楽しみ、部屋で、休息と翌日への備えなどが肝要です。

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(12)ビジネス出張と個人旅行

だいぶ長くなりました。

社会人なってからずっと国際戦略、経営戦略を生業とし、あちらこちらへ出張している合間に、経験を積んできたことです。

それと、リスクマネジメントを本業の一つにしているので、ついついそうした目線で、ビジネスが動いています。

ビジネス出張は、会社を代表するため、現地のアポ時間は定刻が基本ですし、相手は予定は未定で、変更してくるケースも想定してください。

そもそも論でなぜ出張するのか。現地を見て、相手と握手し、本物かどうかの確認をするのが、東洋的思想ですが、彼ら彼女らは、十年ぐらい前から、ネットなどでのやり取りと、サイトチェックで十分ではないかと考えています。

(それでも、自らの経験を積む上での、海外出張は楽しく、多くのスキルを獲得することが出来ます)

個人旅行ですが、リラックスして楽しく。

個人旅行には、新婚旅行も含まれますが、やはり準備段階からの寝不足が気になります。

今では、少なくなりましたが、英語に不慣れ、だらしなさが見えたと、成田離婚などが、バブルの頃、90年代初頭には、良くありました。

初めての二人での海外で、旦那さんが奥様に、カッコいいところ見せたいと、無理をすることなど控えたいものです。

ビジネスでも、個人の旅行でも、いきなり上級コースに行かずに、まずは、簡単なところから。

最初はツアーに参加し、危険なところはツアーに参加する。

地味で、無事に帰国することこそが、良い思い出、楽しい旅行になります。

長くなりましたので、この辺でひとまず、まとめとします。次回、以降、さらに詳しく。クレジットカードやパスポートなどに言及したいと思います。

(店主)

<追記>

現代リスクの基礎知識(日経BP社)

・2008年~2011年の連載リストhttp://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20080923/100459/?rt=nocnt

・2005年~2008年の連載リストhttp://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/risk/

・それ以前の出版本

リスクリテラシー入門(2005年)http://www.amazon.co.jp/gp/product/482222063X

危機に強い会社をつくる(2003年)

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822220591