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永遠なる無駄遣い


永遠なる無駄遣い
香港返還直前の香港、シンガポール、台北を探る

出発顛末記(2)
「香港」


 返還前の香港を探ろうとしたが、いつもと変わらない騒然とした香港。空港からタクシーでホテルへ。「タクシー運転手」は定点観測の一つ。中国から来たのか、香港人か。手始めの質問はこればかり。あんまりしつこいと正体を怪しまれるので、日本語を織りまぜながら。海を泳いで香港に渡ってきたらしい。勤務時間帯、自分の車か(営業免許を持っているか。香港では売り買いされている。80年代80万香港ドルが今では4倍以上の値で取引。)。1日の売り上げ。家族のことなど。途中デジタル・カメラで来たときのJALの機内やら、機長の写真を見せる。すごく和む。お前もパイロットだと言ったら、ナイス・スマイル。ここでパチリ。降り際まで、デジタル・カメラを売ってくれと、商売の話に終始していた。さすが、商売の国だ。

 ホテルへ。国内報道通り、たぶんキャンセルが続出したのだろう、あるいは週末までの端境期であったのであろう、宿泊施設はホテル側のご好意でアップグレードされたスイート・ルームであった(ホテル日航さん。感謝)。

 慌ただしく、アポ先へタクシーを飛ばす。香港島側に行くタクシーを拾うには、「手で下を潜るポーズ」を繰り返す。暫くして香港島に戻るタクシーを捕まえる。案の定、海底トンネルはやや渋滞。夕刻戻る時には、地下鉄とフェリーを使うしかない。

 コーズウェイ・ベイのマスコミ人「李怡」(右写真、右の人物)の所へ。事務所はとあるビルの中。厳重な戸締まりが行われているが、スタッフは極めて人なつっこい。李怡は、香港を代表する民主派の言論人。当バーのボトル・キープ・メンバーでもある。返還後の香港に関する意見交換。ここ2週間、香港メディアに留まらず、欧米メディアからの取材攻勢。その合間にちょっと休憩という時間を頂戴したが、くたくたのご様子に1時間強で退散。

 ふたたび九龍側へ。クライアント(大手日系電機メーカー)との夕食を交えたミーティング。まだ、ついて数時間というのに、ああ、出張は体力勝負だ。その後カラオケ。よく働き、よく遊ぶ。カラオケ・バーは日本とまったく変わらない。カラオケはやらないので、ひたすら静かに飲む。左写真はクライアント出来上がりの図。

 二日目。早朝からクライアント(大手日系電子機器メーカー)とミーティング。アジア情勢に関する意見交換。香港に赴任して6ヶ月。元気そうでなにより。どうも次は上海で遭いそうな雰囲気だ(勝手に人事を予想してすみませぬ)。

 昼は地元の人に聞いた「飲茶」。ビルの外に出たら大雨。台風通過の影響らしい。二日後のドラゴンボート・レースは大丈夫だろうか。うーん。定点観測(市場調査マーケティング)を止めて、いったんホテルに戻る。そこへSAPIOから出発前に受けたインタビュー原稿の初稿が届く。次のクライアント・ミーティングまでの間、しばし原稿書き。このSAPIOは6月25日(水)発売の7月9日号。返還後の中台ビジネスを読む5つのキーワードである。

 くたくたの一日。夜は有名な「北京ダック」やさん。欧米人、日本人で賑わう「鹿鳴春」(右写真)。横8メートル、縦50メートルの細長いお店に、無数の円卓。予約なしだと2時間待ちはざら。黙々と働く従業員。「わいわいがやがや」としゃべりまくり、食べまくる旅行客、地元住民。香港が中華鍋の底のような街であることを実感する。鍋の底が種火(英国)であろうと、強い火力(中国)であろうと、美味しく食べれればいいやと思うのか、ここでは香港返還は関係ないようだ。その後、遅くまで、原稿の修正、ファックス。小学館編集部は深夜にも係わらず、ほぼ全員ご出勤。お互い、ご苦労さまです。

 三日目。シンガポールへの移動日。えーーーー。そうです。観光気分ではいけない。忙しいのだ(少しわざとらしい)。48時間で慌ただしく、シンガポールに飛ぶ。

 とは言え、5月28日に出来たばかりのビクトリア・ピークの展望台(左下写真)に行かねば。夕刻のフライトまでのスケジュールを建てる。せっかくきたのだから、返還前の最後のペニシュランの「ベランダ」へ。中2階にあるレストラン(中央下写真)でブランチ(右下写真)。サーモン載せた温泉たまご(ココット)がとても美味しい。

 フェリー、タクシー、ピークトラム(左下写真)と乗り継ぎ、ビクトリア・ピークの頂上(右下写真は、頂上から見た風景)へ。ここまでは快晴。横に出来たショッピング・モールを足早に見学。山の上なのか、天候が急に崩れ、どしゃぶり。何故か濡れずに、ホテルに戻る。簡単な、そしてとても遅めの昼食を取る。その後、空港へ、近くてとても便利な空港だ。新しくできるチェック・ラップ・コック空港だとそうは行かないだろう。


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