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こちら情報局


「言いたい放談」
『東京新聞』
03年08月15日付
こちら情報局

ドッグイヤーと夏休み

 最近、サラリーマンの皆さんの日常がなんだか忙しい。それ、実はリストラによる人不足のせいだけではない。
 
 地下鉄内などでサラリーマンが携帯片手に必死でメールを持つ姿に「ああ、嘆かわしい」と思う方もいるだろうが、実は仕事の連絡を会社や顧客先と取り合っているのだ。
 
 黎明期のネットビジネスは、一年に一般企業の7倍の速度で成長し、まるで犬の成長速度のようだということで「ドッグイヤー」と呼ばれた。
 
 このロジックを「ネット入りびたり社会」に当てはめると、こんな計算が成り立つ。
 
 金曜日の午前中に受けた顧客からの問い合わせに、何かの理由でその日の夕方までに対応できなかったとしよう。
 
 土日をはさみ、さらに月曜日の午前中に社内の営業会議でもあれば、結局夕方になる。金曜日の問い合わせに月曜日の夕方に返事をするのだから、4日間、これを7倍すると28日、なんと約一ヶ月待たせたことになってしまう・・・。
 
 さて、夏休み。5日間の休みがネット社会では、35日、つまりは1ヶ月強に当たることになる。
 
 ああ、なんと夢がない。せっかくの夏休みが台無しだとお叱りを受けそうである。
 
 ということで、もう一つの考え方を示したい。スローフード、スローライフである。
 
 環境問題に端を発し、食材や調理方法、あるいはそれを堪能する姿勢、ライフスタイル全般を指す言葉である。
 
 と言っても、いきなりスローダウンの実現は難しい。
 
 どうだろう。これまでは、30年間勤め上げてきたなどと言って、しみじみと人生を振り返るのが常だったが、ネット社会はドッグイヤーなのだし、45才で早期退職し、第二の人生をゆったり楽しみのを前提に目標を立てるというのは・・・。
 
 日々のニュースや経済番組などでは年金問題ばかりがクローズアップされているが、自己実現、健康管理のためには、そろそろ新しいワークスタイルを考える時期だと思う。
 
 あ、45才以上の人は帳尻合わせに、今から3倍のスピードで遊ぶことを勧める。