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こちら情報局


「言いたい放談」
『東京新聞』
04年07月16日付
こちら情報局

報道いろいろ

  選挙の開票は、一種のイベントである。
 
 前回のテレビ各局の予測があまりにひどかっただけに、今回どう巻き返すか、出口調査の精度と、当選確実をどう報じ、勢力図に反映させていくのか注目して見守った。
 
 20:00の開票開始直後に各局が出口調査をもとに出した議席予測については、火曜日の本紙に解説があったが、筆者は、その後、刻々と変わる各局発表の確定議席数と残り議席数をトレースした。
 
 あくまでマーケティング戦略上の話としてだが、テレビ局のシナリオとしては、「自民大敗」という「危機」を演出し、民主党党首の笑顔を対比させることも可能である。
 
 極端な話、最終的な獲得議席数を報じることとは別に、途中経過を野党有利としてどう表現するか、バイアスのかけ方が腕の見せ所となるという考えも存在する。
 
 言い方は悪いが、最終的な数値が一致していれば、途中は番組進行上の「演出」があってもおかしくない。
 
 そういう観点で眺めていると面白いものが見えてくる。
 
 22:00過ぎの自民と民主の獲得議席数は、テレビ朝日が35対44、日本テレビが35対43であるのに対し、NHKは36対40、TBSは35対40、フジテレビは34対40であった。
 
 その後もテレビ朝日は、残り議席数がF1並みに他局を引き離し、0:26には早々に民主党が50議席に到達した。
 
 結局、テレビ朝日は3:33に全てを当選確実とし、マッチレースを制した形だが、ゴール目前で自民党が伸び、当初の民主圧勝という予測とは違う結果が出てしまった。
 
 もちろん、これは、都市部と地方、地区ごとに、各党それぞれの強み・弱みがあり、どこを先に出すかで異なってくるのであろうが、ま、人生いろいろ、報道いろいろなのかもしれない。
 
 ところで、選挙翌日に乗り込んだタクシーの運転手さんは、小泉首相のあの発言で民主党にしたと明言していた。今年の流行語大賞は、「人生いろいろ」で決まりか。あ、失言部門ですね。