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こちら情報局


「言いたい放談」
『東京新聞』
04年09月10日付
こちら情報局

ロシア学校占拠事件

 チェチェン独立を求める過激派が引き起こしたロシアでの学校占拠事件。
 
 夕方、たまたまつけていたCNNが銃撃戦開始の第一報を伝えてきた。そうなると、CNNとBBC、そして国内各局の報道姿勢が気になる。
 
 まず、国内メディアの中継が遅い。ニュース速報のテロップは一瞬流れたが、一番早いNHKでも詳細は19:00からのニュースに譲っていた。既に突入から1時間。そのタイミングで20分ほど前の映像を繰り返すのみ。
 
 さて、ここからだが、22:00の報道ステーションを見ていると、センセーショナルなカット、被害者が逃げ出してくるシーンなどが「旨く」編集されていた。
 
 報道ステーションに限らず、翌日のワイドショーも含め、似たようなトーンでの編集。「編集」としているのは、通信社から配信されるニュース映像を含め、どう切り取り、どう取り扱うかは、テレビ局側のスタンスにかかわるからだ。 
 
 見ていて、ちょっといやな気持ちにさせられた。
 
 被害者側の目線に立てば、覗かれると感じる素材が少なくない。被害者の家族だろうか、手でカメラをさえぎり、あっちにいけと言わんばかりの剣幕も映し出される。
 
 それがメディアの求める希少性なのだろうか。
 
 実際、事件の経過を今一度振り返るとか色々できたはずだが、いきなり救出された人々をクローズアップするというのはいかがなものか。
 
 例えば、プーチン大統領の強硬姿勢や、突入時の段取りの良さ、日本訪問へ与える影響、さらには米国大統領選への影響など、分析の手法はいくつもある。
 
 さて、それを傍観する私たち。こうした悲惨な事件が起こるたびに、日本から発せられるメッセージはどうあるべきかを考えている。一つ提案だが、クリスマスイブなどによく見かける、新宿高層ビルの窓を使ったイルミネーションで、平和へのメッセージ、哀悼の意を表することは出来そうだ。