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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年2月4日付
こちら情報局

台湾のしくみ

 いやはや最初で最後、一度だけ筆者新作本の紹介をさせて欲しい。

 実は、昨年9月に出版社から台湾に関する書籍を今年の二月から三月にかけて出版したいとの依頼があり、時間的な拘束が長いため、即答を避けたのだが、その翌日に台湾で大規模地震が発生したため、どうしたものかと考えあぐねていた。

 5年前の阪神大震災では、まだまだ30代と若かったこともあり、上司に数カ月の職場放棄を伝え、ボランティアに没頭していたのだが、どうにもこうにも今回ばかりは抱えている業務を放り出すわけにも行かず、途方に暮れていた。

 が、元来の楽天家の性分からか、台湾の復興への足がかりや、3月に予定されている総統選挙への影響など最近の事例分析を含め、台湾の強さを改めて知らしめることが、最大の応援歌であり、鎮魂歌になるという結論に至った。

 さてそこからが大変である。既に本業ではY2K問題を含め、数カ月先までスケジュールが満杯の上、本連載を含め週3本、月4本のコラムを抱えていては、どうにもこうにも調整ができない。

 おまけに、過去の台湾に関するデータの蓄積は、大規模地震の発生で、前提条件が変わったために、そのままでは使えそうにない。

 結局、体力採用を自負するスタッフ数名と連日連夜、本業のプロジェクト作業の合間を縫っての執筆業務となってしまった。

 さて、そんなこんなで、完成した「台湾のしくみ」(中経出版、1500円)。

 直前に迫る台湾総統選の主力候補の横顔や財閥系企業グループのランキング、さらにはその後進展が予想される中台両岸関係の交渉の行方まで盛りだくさん。

 まるでわが子のように可愛いのだが、昨日あたりから店頭に並んでいるはずだ。どうぞご贔屓に。