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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年2月25日付
こちら情報局

外形標準課税

 ちょっと海外出張している間に、我らが都知事が大胆な行動に出た。東京という一地方自治体からの反乱を企てたのである。

 この動き、都民の一人としてその行動力に拍手をしたい。行政という枠組みの中で、巧妙に練られた戦略であり、発表までの戦術も見事である。おそらく、今後は全国一律の導入へと政府が重い腰を上げることになる。

 しかし、この問題は、一方で解散総選挙のタイミングやら、都市新党結成への動きなど、考慮すべき間接的なファクターも多い。

 というのも税の公平性の観点で言えば、業種を特定するのはもっての外であり、全国一律に外形標準課税を導入するということは、これまで徴収できていなかった三分の二の法人からも納税をお願いすることになるからだ。

 結局は地方の中小企業、それもパパママ・ストア的な零細企業などへの増税へと拡がり、自民党の支持率や票田へと影響が拡大する。

 もう一つ指摘したい問題は、税収が急速に縮小し、どうにもならないので、評判の悪い企業やむしり取れそうな企業から頂いたというイメージが先行することだ。

 こうなると、次に標的とされそうなのはインターネットビジネスで成功したネット長者なのではという危惧が持ち上がる。このまま東京の国際都市としての魅力や利点が著しく低下するようだと、東京から出ていきますという企業が増加することも予想される。

 見ていて奇妙だったのは、全国一律での導入を求める多くの知事達の声である。関東周辺であれば、どこかの知事が、「税金の安いうちに引っ越しておいでよ」「うちは本社移転で多くの社員が来れば歓迎するよ」と言っても良い。

 千葉の幕張や埼玉の大宮などはおおいにトータル・リターンを議論すべきだろう。