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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年3月31日付
こちら情報局

再び観光資源

 二月十八日付で観光資源のお話をハワイへの出張と絡めおもしろおかしく表現させて頂いたところ、編集部宛に幾つかの貴重な御意見を頂戴した。

 賛否両論とでも言うのだろうか、和風旅館での旧態依然の接客態度に呆れたことから始まり、ソフトインフラ以前にハードインフラでの交通料金(特に鉄道)の割高なコストをどうにかして欲しい、競争したくても競争できないと言うものもある。

 実はこのテーマ、古くて新しい問題であるが、事態はそれほど単純ではない。鉄道をもう少し安くと言う問題以前に、地方における過疎化傾向が著しく、採算割れだから廃線にしたいなどという主張の方が強くなっているからだ。

 要するにマーケットが存在し、そのマーケットを欲する顧客がいるかどうかが話の最初に登場する。

 で、前回申し上げたことを補足すると鶏が先か卵が先かは別として、国民全体で「観光で食べていける」「観光で食べていきたい」という思いを再度確認する必要があるということだ。

 観光ビジネスは20兆円の直接効果をもたらすとともに、波及効果として約50兆円の生産高と420万人の雇用創出ももたらす。 日本にとっては21世紀の基幹産業の一つになると期待されている(経団連くりっぷ二月二十四日付)。

 邦人海外旅行者数が一六〇〇万人であるのに対し、日本を訪れる外国人旅行者は四〇〇万人、僅か四分の一に過ぎない。

 今年秋には観光政策審議会において「魅力ある日本のアピール」が採択され、「国際ハブ空港等インフラ整備」が再度提言されることと思うが、問題の本質は外国人にとっての地方間移動の利便性であり、各地方都市が観光プログラムにマーケティング要素を滲ませ相互に連携できるかにある。