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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年4月14日付
こちら情報局

三国人

 三国人(さんこくじん)。三国って、てっきりバルト三国かベネルクス三国かと思った程だ。

  インターネットで大辞林を検索すると「三国人は第三国人に同じ」とある。第三国人の項目を見ると、 二つ目の解釈に石原発言の例の「俗称」が出ている。

 『戦後の一時期に.....。』表現を読んでいても辛い状況なので、ここでは省略するが、その最後にもう一度「三国人」とある。

 推測するに、辞書を編纂する人達もこうした言葉をどう表現すべきかで迷ったはずだ。

 この辞書の表記に従えば、三国人だけの場合、強く俗称の方を指すものとも読みとれる。

 あれーーと思ったのは、水曜日の石原氏の記者会見。いきなり冒頭で「第三国人」と言い換えた。これとて、発言当日の前後の文脈からは許されたものではない。

 だが、仮にも鷹派を自認し、確信犯的に自らの責任を取る生き方をしてきたのならば、あまりに安易な訂正(ごまかし)ではないのかと言いたい。

 問題発言がこうも続くと強姦発言で辞任した西村慎吾氏ともキャラクターがかぶるような状況だが、彼はきっぱり辞めた分だけ、潔い。

 今後も知事の職務を全うするのみとでも言いたげな記者会見だったので、老婆心ながらにもう一言申し上げる。

 夜の歌舞伎町を危険な場所と断定していたが、風評被害というのに該当しないか心配する。

 外国の例で恐縮だが、ニューヨークのジュリアーノ市長は、就任後に悪名高き42番街の風俗を一掃し、だいぶ治安の改善に貢献した。 危険という認識があるのだし、お得意の出撃を期待したいものだ。今晩から「石原特別パトロール隊」を編成してはどうか。治安回復で人々が不夜城に戻れば、税収の心配は減る。