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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
00年9月22日付
こちら情報局

顧客満足

 コンテンツ(付加価値情報)をホームページに載せたが、お客さんがつかないとぼやく大手企業の役員に、それは営業の基本に戻ることですと伝え、自信を回復していただく場合が多くなってきた。

 バーチャル(仮想空間)な世界での電子店舗を開設することが流行るが、リアル(実在社会)を無視するわけにはいかない。私達は三次元の世界に住んでいるからだ。

 ところで、コンテンツの何たるかを認識することも重要だ。情報が氾濫するなか、企業側が一方的に煽るお買い得感や、顧客第一主義にいかがわしさを感じている。

 最近、特に思うのが不動産取引。売るべき商品(不動産)がなければ話にならないから、大変なご時世とお見受けする。仲介業は不動産・動産に限らず、物が動いてなんぼの世界。価格変動で損をするお客がいる一方、得をするお客がいれば、鞘(さや)が抜ける。

 「このあたりでマンションをお探しのお客様がいらっしゃいます」とチラシ攻撃が始まって数年。

 ふーんと思って眺めても、この不景気、購入した時よりもかなり値下がりしたマンションを損をしてまで売りたい人などいない。

 昨年からはマンションや地域を指定しての「指名買い」が流行中。

 医者の誰それが、子供夫婦のために、是非そこでお願いしたい。ついては条件はこれこれしかじか。

 おいおい、そんな価格の部屋がこのあたりであると思っているのか、買う側に気を遣い過ぎなのではと疑いくなる安値一辺倒の記述。

 最悪なのは、何を間違えたのか広めの3LDKをご指名。残念ながら当マンションでは存在しないタイプだ。こうなると業者の営業姿勢への不信感が一気に増大する。

 情報が氾濫する世の中になった分だけ、確かな情報へのニーズが高まっているはずなのだが、数打ちゃ当たるで時間をロスしている。