「本音のコラム」『東京新聞』

　「日本におけるイタリア二〇〇一」の催しが始まった。先日、イタリアへの出張で利用したアリタリア航空の機内誌でも別冊で特集が組み込まれており、イタリアの外務大臣であるランベルト・ディーニー氏が、「日出ずる国」日本におけるイタリア年の開催に際し、両国の友好の絆をさらに強くすることを願い、開催の挨拶を寄せている。

　が、その雑誌における日伊の友好を讃え合う様々な文言には多少の違和感を覚える。

　ビジネスで立ち寄ったミラノでは流暢な英語を操る弁護士との意見交換にワクワクしたし、ちょっと前まで危険だと言われたナポリが市長の努力で、ごく普通の海外都市にまで変貌したことを実感した。

　しかし、残念ながら、ミラノでは小学生の数名が同級生を突き飛ばし、筆者に当てようとした。また、ナポリの港に隣接する国際的な高級ホテルの前や有名百貨店では、現地の女子中学生にアジア蔑視的な言葉をイタリア語で投げかけられた。

　日本のマンガやゲームに慣れ親しんで育った子供達の悪ふざけにしては度が過ぎるのが気になる。

　バブル崩壊で一時期日本人の購買力がおちたため、最近は有名ブランドの対応も少しは良くなっているらしいが、イタリア年は単なる通商のための宣伝の場ではないはずだ。

　日本からの一方通行を終りにする努力がそろそろイタリア側でも必要な時期だ。