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デフレ色が強まるなか、なかなか下げられないのはお中元の価格。下げた瞬間「不景気なのねぇ可哀想に」「リストラなのかしら」などと思われやしないか、特に仕事関係では気を遣うことだろう...。
さて、今から二十年も前の話。当時、大学院教授の書生をしていた。二十四時間、教授ならびに夫人に仕え、布団の上げ下げ、風呂の掃除、電話の受け答え、礼状の書き方まで厳しく教わったものだ。 お中元、お歳暮の季節になると、卒業生などからの品で四畳半の書斎がいっぱいになる。そんな時代である。 お返しする方も大変。とは言っても、当時の庶民の知恵に「たらい回し」なるものがあった。先方から頂いたものを別の人に差し上げるのだが、他人の名前入りのノシがのっかていては、笑い話ではすまされない。 研究室の学生の大事な仕事の一つに、包装紙をそっとはがし、中身を確認し、再度包み直す作業がある。数が多いだけに、作業は深夜に及ぶ。 そんなとき、必ず特異な才能を開花させる天才が出現するものだ。 箱の大きさと重さ、包装紙から中身とその価格を当てる。かなりおおざっぱだが、彼のパターン分析は的中した。 がどうもアナログチックで危ないとその手法はすぐに廃れた。そのうち送付状の記号で価格が解ると指摘する強者が登場。労働の軽減への熱意が知恵を生むのである。
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