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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
01年10月5日付
こちら情報局

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シェーン

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 米国同時多発テロ以来、ブッシュ大統領はカウボーイを自認しているが、さしずめ小泉さんはシェーンに出てくるあの坊やに見えてしかたがない。

 「シェーン・カム・バーック」はあまりにも有名なラストシーンである。

 湾岸戦争に続き、貢献が出来ないならば、友人が去ってしまうという焦燥感が政府与党のなかに蔓延している。

 ここで思い出すのが京都大学の故高坂正堯教授からの教えである。亡くなる一年ほど前に国際会議で数日ご一緒する機会があり、これはチャンスと色々質問をした。中でも安保政策関連は印象深い。

 当時、ARFを創設し、アジアでも共同で地域の安全保障を確立しようとする機運が高まっていた。これに対し、高坂教授の持論は明快だった。

 米国は、安保の束なるものにより、それぞれの国と一対一で条約を結んでおり、いざというときは個々の束の強み弱みを見極め動くというもの。

 超大国としては確実に自国ならびに世界の安全を確保する上で、地域共同での話し合いなどありえず、まして紛争時に呑気なことなど言っていられないという。

 そうなると日本が考える同盟国とは多少色彩が異なってこよう。日米二国だけの同盟関係ではなく、米国を中心とした安保の束での関係構築なのだから、日本は米国や米国の同盟他国の苦手なチャネルを強化し、戦略上の競争優位を保つのも一つの手ではある。