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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
98年6月19日付
こちら情報局

ブックファースト

 渋谷の文化村通りに大きな書店が出現した。6フロアを占有する「ブックファースト」のオープンである。開店前日の全面広告では、「はじめに」の文字が大きく踊っていた。『はじめにでかけてみませんか』の広告コピーに、開店当日の夕方、視察を兼ね訪れた。

 実は大きいということでは、神田には古くから本屋街として多くの老舗が居を構えているし、東京駅に続き、昨年出来た新宿の南口の某書店では「大きさで集客を」と評判になっており、珍しくない。

 渋谷では巨大化以外に『人にやさしい』『人にあたたかい』書店づくりを目指すようだ。当日それに近い展示を発見した。4階の「ビジネス&キャリア」の通路の壁に、書店側が選んだ「インパクトのある表紙」コーナーがあり、色々な種類の本が展示されている。例えば、「表紙タイトル編」では『お客様は悪魔です』に「よくぞ本音を言ってくれました!!」との解説が入る。なるほど、効率一辺倒ではなく、顧客との対話もあるのかと微笑んだ。

 特筆すべきは、レジ前に配置された書籍検索機「ブック・ナビ」である。顧客が「書名」「著者名」などで目指す「書籍」のありかや在庫の有無を確認し、表示・印刷することが可能だ。とにかく検索時間が速いのだが、ここまでならば、ふむふむなるほどで終わる。しかし、プリントアウトされた紙にはバーコードが印刷され、二度感心した。在庫切れ注文時に、レジにその紙を持参し、バーコードをなぞってもらうだけで発注ができる。書名や在庫を巡る店員さんとの悪戦苦闘が回避できるわけだ。

 さて、多種多様な和洋雑誌が整然と並ぶ同店の次の一手はなにか。米国の先進事例からは、インターネット上での受発注と割引となるのだが、「障害者」と「地球に易しい」も忘れてはならない。