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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
98年7月31日付
こちら情報局

頑張れ小渕君

 二週間程欧州に行ってきた。この不景気に随分と豪勢なことと言う無かれ。半分は休養を兼ね気分転換に、半分はマーケティングなどの視察をと考え、放電し続ける自分への先行投資でもある。

 さて、スイスに着いて早々、自民党が参院選挙で惨敗し、橋本氏が責任を取り辞任するとのニュースが飛び込んできた。『選挙に行こう勢』が成功したのか、はたまた投票者のための利便性向上が功を奏したのか、国民の意思がはっきりと示された瞬間でもある。

 宿泊先のホテルではCNNとCNBCのみを見ることが可能であったが、久々に日本が世界の報道番組のトップニュースに躍り出ていた。もう少し明るい話題を提供できればなぁと、やや複雑な心境ではあったものの、日本の次の一手が注目されていることを改めて実感した。

 その後、オーストリアを横断し、ハンガリーへと各地を転々としながら事態の推移を見守った。帰国当日に空港への時間ギリギリまでテレビにかじりつき、何としても次の自民党総裁が誰になるかを知りたかったのだが、大きな混乱もなく小渕政権が誕生し、ああそんなものなのかと脱力感を覚えた。

 さて、帰国してみると案の定、新政権の評判は良くない。誰も前向きな評価をせず、次の一手を最悪のシナリオを持って待ちかまえる言葉で紙面が埋められている。しかし、では与野党を含め代替案をと聞いてみたいところなのだが、誰か全員が納得する良きリーダーを推挙できるのだろうか。

 かばう必要は無いが、いたずらに批判せず、与党自民党が参院選大敗の原因を自覚し、新政権誕生後もその危機感を持ち続けられるかどうか、今後の一挙手一投足をつぶさに監査する厳しい目を持つべきである。小渕新首相のお手並み拝見と行こうではないか。