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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
98年8月14日付
こちら情報局

フェアプレー

 夏休み明けに一波乱あるとコメントしたが、来月を待つまでもなく、円安傾向に拍車がかかり、ニューヨーク株式市場は久々の暴落に見舞われた。その背景には、海外投資家の間に人民元切り下げへの懐疑が流布しているのだが、当の中国は日本の努力不足であり、噂はあくまで噂とニベもない。

 そんな折り、経済企画庁が役所の姿勢を修正し、分かり易い言葉で「低迷」と伝えたが、それはフラフラの「酩酊」ではないかと言葉をひっくりかえしたくもなる。

 国民は、言われなくとも景気が悪いのは先刻承知であり、むしろ次の一手をどうするのかを問いたいのだが。マスコミは一歩前進などと甘い評価を下しているが、表現上の分かりにくさは大差ないぞと声を大にして言いたい。

 もうひとつ気になるのが、国会での各党の代表質問である。政治の舞台での駆け引きをどう行おうと自由だが、過去の失政や参院選の結果に表れた民意について首相の認識をただし、政権奪取を念頭に、ここぞとばかりに解散総選挙に向かわせようとしている。

 仮の話で恐縮だが、解散総選挙を実施した場合、若干の議席の入れ換えがあり、もしかすると与野党の勢力が逆転するかもしれない。が、根本的な課題の解決には至らないのではなかろうか。現状でもシャドー内閣を組成できずに、旧来型のヤジを飛ばしているだけならば、むしろ、無意味な時間と税金が投入され、難題が先送りされるだけだと考える。

 過去の事例を引っぱり出し、政策提言を言った言わない、オリジナルはこちら、与党の政策はパクリだと一歩も引かないことよりも、緊急時対応として救国内閣的な色彩からの側面支援を行った方が、真のリーダーシップを発揮しているのだなぁと応援したくなるのが国民感情というものではないか。