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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
98年9月4日付
こちら情報局

鎌倉のオバ

 とうとうやってもうた。北朝鮮がミサイルを撃ち込んできたのだ。北朝鮮通の国内の学者は、実験により軍事的優位を見せつけ、後は交渉によって援助を求める「商行為」なので大丈夫と言いたげだが、そうじゃないだろう。弾道が大気圏を通過し、領空侵犯かどうか微妙であるとか、人命を含む甚大な被害が発生しないと直接的な防衛行為に出られないとかはこの際関係ない。実際、操業中の漁船や航行中の旅客機が危険にさらされ、被弾していたかもしれないのだ。

 ここで思い出すのが、数年前、マスコミの「戦後50年」特集でコメントさせていただいた一言、『鎌倉のオバ』である。核疑惑が発覚しても、日本は平和外交の原則の下、道義的責任から多くの援助を差し伸べてきた。が、もしかすると暴走行為に向かおうとしている親戚の若者に大型バイクを買い与える「聞き分けの良いオバ様」になっているのではとの懸念が頭をよぎったのである。

 杞憂に終われば良かったのだが、若者は買い与えたバイクで暴走を繰り返し、とうとうオバの玄関先で空ブカシを始めてしまった。

 こんな時オバはどうするか。町内会による自警団を結成し、町内会費がかさんでも自衛(ミサイル迎撃)システムを完成させるのか。

 いや、教育的配慮からはもう少し辛抱が必要だとの反論もある。また、あんな行為を繰り返していたらそのうち事故る(体制崩壊)という他人事のような意見も聞こえてきそうだが、今にもバイクが玄関に突っ込んでこないのか。

 最後は警察(米国)に任せたらいいというのが常識的な対応だろう。が、警察も自己責任での安全管理を要求している。まして、派出所(沖縄)がままならない。

 鎌倉のオバはいつまでも良い人で終わるのか。それとも厳格な一面を見せ、絶縁宣言すべきなのか。ひとまず、おもちゃを買い与えるような行為は中断した方が良い。