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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年4月30日付
こちら情報局

沖縄サミット決定

 二週間の海外出張から帰国し、時差ボケで苦しむ中、コロラドの悲劇に関する現地での報道姿勢などを伝えようとしたが、沖縄サミットの開催が決定したので急遽内容を差し替えた。

 沖縄サミット開催の意義については、今年の1月29日付の本コラムで伝えた通り、日本のアジアに対する責任と役割、共生の姿勢を伝える良い機会に恵まれる。

 前回も指摘したが、地図をひっくり返すと、アジアに向けた先端都市は沖縄であり、企業にとっても、沖縄を軸に21世紀の事業戦略を立案する意義は大きい。

 さて、小渕首相の訪米直前に、九回裏の逆転サヨナラ満塁ホームランのような決定であったが、決定時期が二転三転したのも事実である。当初は昨年末までに開催地が決まる予定であったのが、水面下での陳情合戦が統一地方選挙に影響を与えてはいけないと五月の連休明けに持ち越されていた。それが今度は、訪米の影響と考えられてはと首相訪米前に変更されていたのである。

 実は、この訪米直前への再度変更の段階で、筆者はこれは沖縄だなとの直感に近いひらめきがあったのだが、沖縄の関係者からは福岡を有力視する報道に影響されてか、それはないとの諦めに近い反応を頂戴していた。

 決定直後の野中官房長官のコメントでは、決定理由の一つとして、沖縄県民20万人が短期間に署名を集めたことが挙げられている。高校野球に続き、確実に沖縄の何かが変わろうとしている。

 沖縄開催の意義を確信していた筆者は、今年二月サミット会場となるブセナテラス・ビーチ・リゾート(名護市)に足を運んだ。リゾート・ホテルの質は、欧米にひけを取らない。サミットには少し気が早いが、応援する意味で沖縄観光を計画してはどうだろう。