トップへ


こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年10月22日付
こちら情報局

金融再編

 金融業界(銀行、証券、生保、損保)を巡る動きが急に慌ただしくなってきた。考えられる組み合わせ、予想される枠組みを越えて、次世代(二〇〇二年四月)に向け、改革が急だ。

 住友銀行(住友系)とさくら銀行(三井系)が合併を発表し、三井海上・日本火災・興亜火災の持株会社構想に住友海上が参加するのではと見られている。

 庶民感覚で行くと、あそことあそこがくっつくのだから、新しい銀行名はとか、次はあそことあそこがくっつきそうだなどと「恋の鞘当て」みたいな状況にあるが、当事者の行員たちは、リストラも含め、複雑な心境であろう。

 「昨日の敵は今日の友」などと悠長なことは言えない。合併統合後に会社に残れるか残れないかは「スキル」「パフォーマンス」次第ということになる。

 そうそう、中堅企業は優秀な財務マン、経理担当を獲得する良い機会に恵まれるのだから、すかさず食指を伸ばしたらどうだろう。

 さて、今回の一連の騒動、まるでオセロ・ゲームを見ているようでもある。

 定石である中央占拠(業界でのトップシェアの獲得)から、四隅の奪い合い(グループの枠を越えたシステム連携)に発展している。

 こうなってくると外人助っ人による混合部隊が勝つのか、少数エリートによる純血主義がスマートにビジネスをこなしていくのかということが注目される。

 例えば、東京三菱銀行と東京海上と野村証券という横の繋がりも検討できる。

 思い起こすのは一年前。金融再編の新しい動きとして、欧米では一般的な手法を国内で紹介をしたら、損保業界から猛反発を受けた。金融ビッグバンを目前に、何を呑気なことをと思っていたら、ようやく目が覚めたようだ。