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こちら情報局


「本音のコラム」
『東京新聞』
99年12月10日付
こちら情報局

交通渋滞

 急いで乗ったはずのタクシーが渋滞にはまり、乗客のなんとも言いがたいプレッシャーを背中に感じる運転手さんにもストレスがたまり、運転に影響する......。

 ここ数年は、年度末(三月末)の予算消化が不景気対策で前倒しになり、更に景気回復に向けての緊急予算が組まれることで、道路工事に伴う渋滞が増えている。

 で、いつも「あれ?」と思っていたことが、先日乗車したタクシーの運転手さんからの指摘で「やはりそうか」となったので、ここは元気の良い「慎太郎知事」にご検討頂く意味での問題提起をしたい。

 あの交通渋滞だが、地下鉄工事や高速高架橋の耐震強化工事など、道路そのものの工事ではないにもかかわらず、周辺道路を確保しすぎているために発生しているのではないだろうか。

 最近の工事は大がかりなため、工事車輌が大型化しているのは否めないが、休日に六本木界隈を車で走っていると、三車線のうちの二車線が工事現場として占領され、その中にゆったりと工事車輌が駐車している光景に出くわす。

 甲州街道沿いの環八に向かうあたりは、数十メートル先の道路工事を知らせる立て看板やら、三角コーンに占拠され、大げさに言えば5車線が1車線に合流するという離れ業を実演している。

 実は乗車したタクシーの運転手さんはガス工事会社からの転職組なのだが、ガス関係では道路使用許可(占拠幅)が厳しく規定され、工事による渋滞への影響排除が徹底されているという。

 一昔前に決定された道路使用許可要項みたいなものは、こうした近未来の大渋滞を想定していないか、或いは工事側の効率性のみに焦点が合っているのではないか。 「パーク&ライド」も良いが、まず「工事施行マニュアル」を渋滞緩和の観点から見直すべきだ。