ものづくりとデザイン、マーケティング

pana_tel12月20日に、電話・留守電・ファックスを購入。22日に届きました。

パナソニックの「おたっくす(電話・留守電・ファックス)」シリーズの最新版です。

このジャンル、国内は、家電業界が不振で、買えそうな機種が限られています。

そもそも電話ファックスって、いまどきいるのかというのもあるのですが、疲れているときは、ローテク・アナログが一番です。

2月14日に発売したばかりで、子機が2台ついて、3万円ぐらいです。

価格ドットコムみますと、2万7000円ぐらいからありますが、まぁ、良いかなと、即購入。

・Panasonic デジタルコードレス普通紙ファクス(子機2台付き) ホワイト KX-PD703UW-W

(今、アマゾン見ますと、発売して二週間経過し、1500円ほど、値下がり。2万8500円。ただし、欠品状態)

以下、(1)進化している点、(2)やや不満が残る点、(3)負のスパイラルからの脱出。などをまとめてみました。

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(1)進化している点

デザインも、似ているし、いくつか改善点がありました。

・◎立ててあった電話が寝かせられる。(コピー用紙立て含め、普段は寝かせておける、液晶対応になったので、紙を常に補充しなくて良い。紙詰まりも安心)

・〇本体の液晶見てから、ファックスされてきたものを印刷するか決められる。(実際、印刷するまでもないものも)

・〇印刷せずに、液晶画面に書き込み、送り返せる(原稿を頻繁に、やり取りする場合に、うれしいかも)

・〇留守録をメモリに保存できる(会話全部保存、来たものだけを保存)

・△センサーで人が近づくと、留守録あるか、教えてくれる(実は、オプションで購入)

・✕玄関のチャイムとつなげられる(これもオプション、繋ぐ機種による)

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(2)やや不満が残る点

ただし、最近の日本の情報家電などで言えるこですが、買ってから、ああ、ここがこうだったのかぁ。手抜きだなぁというのが多々あります。

写真は、左は、10年前のおたっくす。

これ、デザインに力入れた別ラインですが、やはり、綺麗なデザイン、ものづくりのコンセプトがあります。

まだ、余裕があり、もがいていた時代の最後の「遺物」かもしれません。

なぜに作り続けないのかが気になります。

・✕親機はワイヤード

受話器は、親機に付属ですが、ワイヤード。

買った機種は、てっきりワイヤレスと思ったら、親機だけは、ワイヤードでした。

(別機種に、ワイヤレスありますが、3万5000円。さらに5000円高くなります)

日本製は、脱ガラパゴスが鍵とは言われているが、多機能を辞める辞めないではなく、ものづくりのディテールまで踏み込めるかが問われてきます。

辞めたなら辞めたなりに、説明がしっかりしていないと。今は、ネットで購入するのに、記号だらけで、あの機種と、この機種の何が違うのかの一覧がありません。

・△スピーカーフォン

まだ、スピーカーフォンになるのかが解りません…

・✕マニュアルの説明が不親切

特に、子機の横に「機能(決定)キー」と「選択キー(音量で代用)」がありますが、どこにも説明がありません。

・✕子機の音量が最小になっている

デフォルトの設定が、最小だと、上のマニュアルで悪戦苦闘して、子機の通話音量を上げることになります。

無駄な時間が増えます。

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(3)負のスパイラルからの脱出

細かく書きましたが、ものづくりの観点から見ますと、日本ブランドの不安が露呈します。

a) ライバルが倒れたり、吸収合併したりするため、チョイスが少ない。

お互いに切磋琢磨できず、ライバルがこれを出したのだから、こちらは何を出せるのかが出来なくなっています。現場の担当者が、ライバルを口実に、予算獲得、開発設計がしずらくなっています。

これについては、

・「僕らのソニー」が死んでいく。経済の死角@現代ビジネス(講談社)」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38460 等も参考になります。

b)多品種、共通部品などの最適化

理工系からの発想で、記号で管理する癖がついているせいか、703と702の違い、603と602の違い、SWとUWの違いなどが解りません。

3と2は、昨年の機種か、今年の機種なので、理解できますが、「700番と600番は、手書きが出来るできない」、「SWとUWは人感知センサーの有無」となります。

買ってから、ああ、こちらだった。でも、まぁ、めんどくさいから言いかってなると、ブランドへの信頼、信仰は、だんだんと薄れていきます。

c)廃れるものの復刻、維持

デザイナーは常に新しいものを、技術者は少しでも新しい技術を入れたがります。小さなものをコツコツ、いろいろな改善をしていくから、ユーザーはそろそろ買い替えようかとなります。

それが不景気で、デザインなどは極力作りやすいものへと。少ない失敗へと動く。いわゆる、負のスパイラルを駆け下りる状況になっています。自らのスキルを最大限発揮できない現場の口惜しさもありましょう。

いまさらファックス付電話留守録機なのか。あるいは、総合複写機なのか迷いましたが、受話器の使いやすさなどを考え、おたっくすにしています。

まだまだ、ローテクなものを大事にするのは、今の高齢者のためにも、買い支えたい。それと、私自身が年を取ったときにも、アナログ、ローテクに囲まれ、のんびりして居たいからです。

ものづくりとデザインについては、また語りたいと思います。

(店主)


ソチ2014から東京2020への助走

201306191244ソチ2014は、予想された混乱もなく、無事、閉会式へと向かいます。

オリンピックは、この後、開催場所が夏と冬と二年毎に移動しつつ、6年半後に日本にやってきます。

 

東京オリンピックの誘致過程で、「お・も・て・な・し」という言葉が流行語大賞を取り、いかに「もてなす=歓待する」のかが議論されていることでしょうが、開催に向け、何が大事なのかを暫く考えていきたいと思います。

ここでは、(1)海外からの皆さんを出迎える(2)日常の当たり前の見直し(3)内なる国際化と外なる国際化(4)ネットの威力(5)新しい首都、日本の紹介(6)処方箋。 について、論じます。

(*一つ一つの点線が、一回ごとの連載と考えてください。細切れにしたくないので、ブログでは、一気にアップしています。やや長めです)

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(1)海外からの皆さんを出迎える

1964年の夏季オリンピック、東京オリンピックでは、戦後からの復興がテーマでした。その後、札幌(サッポロ)、さらに長野(ナガノ)とつづけ、再び、東京(トウキョウ)にやってきます。

東京は、トウキョウなのか、TOKYOなのか。どの標記がしっくりくるのか。東京2020を経験し、東京という街のビジョン(将来像)を具現化し、グランドデザインを完成させなければなりません。

まずは、日常の喧騒…。このまま維持なのか、成熟した社会としての静寂なのか。

ソチ2014は、首都モスクワから離れ、リゾート地の再開発なども視野に入れています。非日常を演出し、オリンピック後の経済浮揚につなげたい…。

日本は、出来れば、東京2020を通し、日本、東京の良さを見直し、ここで、外国人らが、ビジネスを展開するか、第二の余生を送りたいと思わせたいものです。その時、今の延長線上にある東京や日本は、仕事や生活の場として外国人が「安心」し、喜んで暮らしていく「場」になりうるのでしょうか。

成熟した社会が、高齢者が蠢く社会だと、衰退しかありません。新陳代謝可能な、若い世代、外国人が移住する国づくり。それをプレゼンする「場」としての2020年であることを再確認することが必要です。

外国人がずっと定住する場所ではなく、「働き盛り」の皆さんが、「成長」する場所としての東京を、どう機能させていくのか。一方的に与えるのではなく、共にプラットフォームを創り上げる場となります。

日本は豊かで、清潔だ。安全だということで、外国人が参集する。そのとき、インプットとして、「稼げる」としても、アウトプットとしての「消費=コスト」が高くつくならば、ヒト=労働力は寄ってきません。

高齢社会は、超が付き、現実のものとなり、さらにそのまま放置されています。

首都直下、豪雨、雪害・・・。大規模停電などが起きた場合、どのように対処ができるのか。それらは、外国人からも安全安心と映るのか。

外国からの出場選手、招待客、観光客を迎え、2020を超えて、今抱えている課題の解決と、どうつながるのかが問われます。

ひとまず、東京2020に向け、形から整えるとして、ハードウェアとソフトウェア、さらにネットワークを繋げる作業が不可欠となります。

東京という街のデザイン、ものづくりという発想が求められます。

自らがお客様を出迎え、お客様にも喜んでもらえる。そのお客さまとは誰か。2020年の夏だけなのか。そこを飛び越えていくのか。

自然体、平常心は、2015年(来年)ぐらいから、徐々に計画し、戦略を練り、実践することになるでしょう。

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(2)日常の当たり前の見直し

出迎えるならば、生活と観光ビジネスの動線を分けなければなりません。

東京は、政治と経済の二重同心円ですが、それに加えて、ビジネスと生活が接近しています。

アジアの特徴でもありますが、過密電車で誰もが通勤通学する。

ふと道に迷うと、もうそこには、普段着の私たちがいます。

ハリウッドのSF映画を見ていますと、アジアの描写では、東京と香港、さらに上海が足されたような近未来都市が出現します。

(残念ながら、主人公が、劣っている側の生活臭を感じさせるものです)

欧米の先進国は、馬車から車社会に。それらのネットワークの上に成り立っていますが、日本は、飛脚から自転車、バイク…。そこから自動車の時代へとシフトしました。

都市の成り立ちも、工業と農業の違いなど。

やがて、時代に翻弄され、上から蓋をするように、今の東京、日本があります。

東京オリンピックで、急きょ作った高速道路。街の景観よりも、効率性を優先する時代・・・。

地下鉄を使えば、どこにでも行けますし、格安?ですが、迷路になっているので、知っている街並み(自宅、職場・学校、繁華街)以外だと、お手上げのことも少なくありません。

かつては、横断歩道は確実に止まってくれる安全地帯でしたが、昨今、轢かれそうになったことはありませんか?

木や紙などで創った家、生活の場と言われますが、自転車には優しくない交通体系。このまま東京2020に突入するのでしょうか。

日常の当たり前。暮らしていくうちに、においや目障りなものは、そのままの姿で、受け入れられます。そうしないと、私たちの五感がそれでは、もたないからです。

「まぁ、どこの国でもこんなもの」とするのでしょうなのか。非日常的な「夢」を与え、「共有」する場へと変身させることが出来るのか。

ディズニーのおもてなしは、参考に値するかもしれません。ただし、人工的な街並みは、隣国のように情けが通じず、無味乾燥なものに。

何を残し、どこを新しくするのか。伝統と文化、未来とハイテクの重なりあう日本、東京2020へ…。

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(3)内なる国際化と外なる国際化

家と家の間隔が狭く、薄い壁一枚隔てた長屋。小さいこじんまりしたマンション。オートロックがないと、外から入ってこられます。

下町など、鍵をかけないご家庭も。

そうした普段着が東京でもまだまだ見られます。あと、6年、そんなに急激な変化がないなか、どう海外の皆さんと接するのか。

2020年、国際化が進んだ日本ですが、それは、「外なる国際化」であり、「内なる国際化」ではないように感じます。

「外なる国際化」。ふらりと下駄ばき、サンダルで、海外に気楽に出かけられる。パスポートは、ビザを必要としない国が多く、ボーダーレスです。

一方の「内なる国際化」。日本に入ってくる外国人には多くの制限がありました。変な外人、英語が出来ないと回避する行動は徐々に無くなっていますが、まだまだ苦手意識が多い…。

思うように増えない海外観光客と留学生に、政府はハードルを下げ、一大キャンペーン中ですが、それとは別に、違うテンションのオリンピック観光客が訪れます。

オリンピックは、2020年ですが、そこをめざし、様々なビジネスが検討され、事前視察が行われるでしょう。

オリンピックの準備のためのビジネス、オリンピック期間中のビジネス、それらを越えて、2020年以降の日本を拠点としたビジネス。

ほんの一瞬のために、多くの不都合を美しい布で被せておくのではなく、徹底的に掃除して、手料理を工夫し、パーティー好きになるチャンスを活かせるか。

2020年の夏に、2ヶ月だけ消耗するのは、もったいなと感じます。

オリンピックイヤーは、2019年にはやってきて、2021年まで余韻が続きます。それらをどう定着させ、2035年を目指せるのか、知恵の出しどころとなります。

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(4)ネットの威力

ソチ2014を見ていて、前回のロンドンと圧倒的に違うのは、文化や風習、あるいは各種規制(LGBT含む)などを揶揄するコンテンツが多いことです。

海外メディアは、署名記事、すなわち各記者のつぶやきなども日常的に、世界に向け発信しているということです。

ロンドン2012ではそれほど気になりませんでしたが、この2〜3年で、世界のフラット化(ネットの増幅、拡散)は凄まじいものになりました。

NYやロンドン、パリ、ローマ、ミラノなどは、世界の主要都市として、文化などがフラット化し、同じ目線になります。

東京も広い意味では、それら先進都市と肩を並べ、リードしていますが、一方で、いくつかの揉め事?(領有権問題、捕鯨調査、イルカ漁)を抱えています。

多くのツッコミに、どうかわしていくか。

もう一つは、ビジュアルです。写真の威力、動画の破壊力は凄まじく、ソチ2014でも、ツイッターなどのTL(タイムライン、時系列コンテンツ)には、海外メディアが多くの写真を掲載していました。

個々が動き、それらを本部(本社)が吸い上げる。分散しつつ、集中できる。

そのためには、英語による発信も不可欠です。

平昌2018のサイトでは、既に、韓国語と英語が併記で呟かれています。

リオ2016には、ポルトガル語版と英語版の二つが存在します。

東京2020は、どのような戦略を取るのか。いずれにせよ、英語での発信が欠かせません。

これらは、企業や組織、個人にも言えることです。

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(5)新しい首都、日本の紹介

空気が美味しい、水が美味しい、新しい生活への提案…。

日本、東京をチョイスしてもらう。その場合の、ライバルは何処でしょうか?これまでは圧倒的にアジアの拠点だった日本、東京が、失ったポジションとは。それらをどう奪い返すのか。或いは、作り直すのか。

パラダイムシフト(価値観の転換)。

東京都知事選は、本来、価値観がどうあるべきかでの争いだったはずですが、究極の、短絡的な、解りやすいというここで、「脱原発」が掲げられました。

現役世代(35~55)は、2035年(今から21年後)に自らが年寄りになった時を考え、今のお年寄りがより快適に過ごすにはどうすべきかに集中すべきでしょう。

今の若手(15~35)は、自らが現役世代になった時に、ビジネスがしやすい、労働力不足を解消するような施策は何か。ロボットや外国人の利活用のための規制緩和をこの歳、考える必要があります。

その提案をし、2020年に実施し、呼び水にしないと間に合いません。

物事を実施するには、「のりしろ」(十分な準備、インフラの整備、ヒト・モノ・カネの調達、そのための大義名分)が不可欠です。

さらに、成果を得るには、「のびしろ」(当初は小さく、注目を浴びなかったが、やがて、共感し、多くのパワーを巻き込み、成長する)ことが期待されます。この期待(リターン)に対し、投資(リスクテーク)が行われます。

ライバルは誰か。相手と自分のイノベーションのジレンマ(快適な現状から脱するための手間暇になかなか腰を挙げられない、これまでの投資を回収するまで、損切りできない)は何か。どの一手を打つべきか。その打つタイミングはいつか。誰と組むと、効果的な一手となるのか。

騒がない。落ち着いた。若者がイキイキ。年よりがのびのび。新しいものが生み出され、近未来に同じような体験をしたい。

そして、東京は住むところなのか、通うところなのか。未来永劫なのか、一時期なのか。

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(6)処方箋

幾つか気が付いたことを添付します。

・滞在コスト

不平不満が出るとすると、滞在コスト、移動コストかもしれません。

ホテルのキャパシティを、地価の高い東京でこれ以上負担することはできません。

東京という名前で、どこまでを首都圏としてアピールするかが一つの焦点です。

知事の連携で、過度の集中を回避することが求められます

・既存概念の拡張

宿泊料金を低く設定する。過剰な事前予約を回避する。チップの概念がないことを説明する。

新しいホテルの概念を提示する。列車や船舶などの利活用。

過剰投資と思わずに、首都直下地震などで、住居を失った場合の代替案をテストするケースだと考えることは効果的です。

・可視化、図案化

英語表記が焦点になるでしょうが、ローマ字なのか英語表記なのかもややこしいところです。

地下鉄の路線図は全てを表そうとしますが、目的地、乗換え、どちら方向へ。などがないと不便です。

ほんの一駅、次の駅だとしても、その大きな乗降が多い駅は、何のために、誰がどちらに向かうのかを示すと解りやすくありがたいものです。

・色々な仕掛けで楽しませる

地下鉄で言えば、問い合わせのとき、チケット売り場の自販機の扉が開いて、駅員が半身を乗り出し、説明する写真が世界を驚かせました。

そうした「忍者」的な仕掛け、オリンピック以外での生活の演出は、効果的かもしれません。

・万が一に備える

オリンピックを無事開催する上で、首都直下地震や集中豪雨にどう対処するか。これだけは、自然災害との格闘なので、あてになりません。

いざというとき、全天候型の体育館での代替。あるいは、北海道や九州などでの開催含め、様々なケースを想定することが可能です。

コストが気になるところですが、自然災害での東京首都圏のバックアップを検討することは、日常で先送りしてきたことですので、20年越しの代替案作成は不可欠と言えましょう。

(店主)

 

 


海外出張&旅行のリスクマネジメント

週刊ダイヤモ201306041035ンド2月15日号で取材されたものを少しまとめたいと思います。

出張や旅行などで、海外に出向くときのリスクマネジメントの留意事項。

 

私が、10年超連載していた「現代リスクの基礎知識」(日経BP社、2001年~2011年)を見て問い合わせてきたようです。(リストは文末にリンク貼りました)

少し、振り返ってみると、

第126回 海外リスク対応の新たな動き~ハワイ地震、トルコ・バス事故 (2006/10/24)

第139回 海外渡航時の個人のリスクマネジメント (2007/05/15)

などで、「リスクリテラシー」の在り方に触れています。

以下、記事では、伝えられなかったことも含め、再度整理してみました

(1)海外出発前の状況=睡眠不足、(2)現地情報を事前に良く取得する、メモする、(3)ビジネスクラスの利活用、(4)十分なスケジュール=トランジットと時差、(5)パスポート、セフティボックス、(6)服装や移動手段、(7)スマホ撮影時=スリや交通事故、(8)危ない空気で引き返す努力、(9)さらなる思わぬ落とし穴、(10)むやみに荷物を人から預からない、(11)過去のリスク事象を知る、(12)ビジネス出張と個人旅行。

(7500文字とやや長いですが、ご容赦ください)

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(1)海外出発前の状況=睡眠不足

出発前ですが、徹夜が続きます。一週間~10日、仕事や家を留守にするわけですから、あれもこれもと無理をしたがります。

どうせ、機内で寝れば良いと考えていることでしょう。しかし、機内では、映画があり、食事や飲み物はいつでも持ってこられる。非日常的な空間が重なり、なかなか寝られません。

寝不足に寝不足が重なるということは、リスクが増えます。物理的、肉体的に負荷がかかります。そして、適性な判断が難しくなる可能性があります。

大事なのは、出発前に無理して、睡眠不足にならない。

あるいは、機内で十分に睡眠をとることを肝に銘じることです。

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(2)現地情報を事前に良く取得する、メモする

団体ツアーで海外について行くのはさておき、それでも自由時間があります。どこに行くのか、その日に行きあたり場たりにならない工夫が大切です。

(機内では睡眠とイイ、事前にはあまり無理せず、さらに現地下調べは、トレードオフ関係なので、やはり海外出張・旅行は、徐々に慣れることが大事です)

いま、どこにいるのか、どちらの方向にどのような危険な場所があるのかを良く把握します。

(良くあるガイドブックだけを過信してはいけません)

最近の傾向として、多くは、日本のサイトを検索し、日本語で下調べをするでしょうが、その中で、おススメは、海外安全サイトです。

➡海外安全情報(外務省)http://www.anzen.mofa.go.jp/

ただし、どうしても、ワンクッション遅れるのが日本のサイトです。日本からの観光客が現地の経済に与える打撃は大きく、あるいは日本の旅行業界への影響も大きいことから、慎重に成らざるを得ません。

なので、海外サイト、特に、英国や米国の自国民向けのサイトを見ておくことをおススメします。

➡英国 https://www.gov.uk/foreign-travel-advice

➡米国 http://travel.state.gov/content/passports/english/country.html

(ただし、これらは、英国や米国から見ているカントリーリスクに留意です)

(調べたものは、アポ先などの確認を前日にし、メモなどに残し、当日持ち歩くときに、ノートを開くのではなく、すぐに確認できる程度にしておく)

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(3)ビジネスクラスの利活用

ビジネスで行くか、エコノミーで行くかの判断には迷うところです。ビジネスクラスの価格は、エコノミーの倍。欧米だと、50~70万円になります。

それだけのコスト負担を、安全を考え二名で向かわせるとしたら、かなりの出費になります。

あるいは、到着後のホテルのクラスをもっと上げる。滞在先で、快適に過ごしたい。ただし、トータルの予算も考えるなどいろいろあるでしょう。

滞在日数を増やすために、もっとも抑えられるのが、航空チケットとなります。

私の発想ですと、往復の航空機をケチらない。出来れば、ビジネスクラスを利用する。そのためのアップグレードに備え、日頃、航空会社のカード(支払い後にポイントが加算されるもの)を多用し、貯めておくことをおススメします。

ビジネスクラスへの搭乗や四つ星以上のホテルへの滞在は、現地の交渉相手やアポ先からすれば、まともな取引先かどうかを見るという時にも使われます。

(欧米では、スーツ、時計、メガネ、靴などと、立ち振る舞いなどもチェックされます)

もう一つは、ビジネスクラスでのフライトアテンダントやパーサーらの立ち振る舞いです。食事や飲み物、その他をどのようにサービスしているのか。私たちは、サービスを利用する側ですが、提供する側は、狭い機内、ゆれるかもしれない天候のなか、離陸から着陸まで、どのようにサプライチェーンを実施しているのか。

ビジネスヒント満載であるともいえます。

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(4)十分なスケジュール=トランジットと時差

現地での時差などは良く留意すべき部分です。帰国後の時差ボケは、まだ、勝手知ったる本拠地ですが、海外ですと、地理的にも不案内ですし、カントリーリスクがまちまちです。

そのためには、太陽が昇るとともに、お日様を浴びる。体内時計をリセットすることが肝要です。

何時に出発し、どこでトランジットして、実際に現地のホテルで寝られるのは、何時ごろか。

自らの体力や冒頭でお伝えした睡眠不足などを考慮し、スケジュールを組み立てましょう。

特に、盲点となるのは、トランジットです。大きな空港であっても、数時間待たされます。

最近の流行りは、荷物を機内に持ち込み、颯爽と空港を後にすることですが、小さくもないバッグを機内に持ち込み、さらにビジネスバッグやお土産、ハンドバッグなどを持つと、荷物が三つ四つと増えてしまいます。

その状態で、空港のパスポートコントロールを通過し、テロ対策の赤外線センサーを通す。そして、レストランなど空港内で数時間過ごすのは安全ではありません。

荷物が出てこないリスク(ロストラゲージ)は、念頭に。ですが、荷物は最終寄港地に届くことを確認し、航空会社に預けることが肝要です。

なお、テロ対策のために、機内持ち込みの鞄や財布、あるいはジャケット、パソコンなどを赤外線センサー通過の場所では、後ろの人にすられる可能性もあるので、自らが留意し、同僚や同行者がいる場合には、お互いが確認しあうことも大事です。

(繰り返しますが、日本から出発して、既に12時間が経過し、トランジットするときには、01:00である可能性があります。そこから、2時間、さらに空港からホテルまで到着すると、04:00などがスケジュールとなります)

(あと、細かいことですが、国内の時間と、海外の時間。そして、現地着いてからは、海外時間をメインに、国内時間を予備で書いたスケジュールの一覧表がないと、曜日を間違えたりします)

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(5)パスポート、セフティボックス

パスポートは、持ち歩かない。セフティボックスに入れることは、多くが留意するでしょう。

そのためには、コピーを2枚ぐらいとっておき、カバンやジャケットに入れておきます。

(買い物などするときは、コピーを見せ、買えないときは、諦めます。そもそも、免税のための手続きなので、パスポート番号と帰りの航空機のフライト番号を示せれば買えることはあります)

しかし、その金庫にしまったパスポートを帰国当日に慌てて忘れることが多々あります。

それを回避するためには、ドアノブに、紙で金庫、パスポートと書いて、貼っておくことです。(紙にアナをあけて、ドアノブの内側にドントディスターブのように挟んでおきます)

私が経験したものですと、電池切れで前日早朝までに開けられなかったことがあります。場所は、米国西海岸。サンフランシスコ。かなり、おしゃれなホテルでしたが、電池切れは避けられません。

前日の朝に、念のために開けたら開かず。これが出発の当日だと、確実にアウトです。そこから10:00ぐらいまで待って、修理する方が到着。なんだかんだ弄って、電池切れとして、電池を直して、帰りました。

ですが、もしやお思い、再度、金庫に何も入れずに、閉めて見ましたら、開きません(笑い)。

念には念を入れることの大切さを実感しました。

なお、海外の多くは、部屋の中にセフティボックスがありますが、そうでない老舗五つ星ホテルなどでは、パスポートを預けるのではなく、高価な宝石などを預けるための場所です。

文化の違いがあります。しかし、安全を確保するためには、預けることをおススメします。

また、パソコンなど、貴重品は、スーツケースやバッグに入れて、鍵をかけます。できれば、毎日清掃に入ってもらわない。ドアノブには、「ドントディスターブ」をかけておきます。

部屋は契約し、確かに自分の「安全に休める場所」ですが、合いかぎで簡単に入れます。

以前、チェックインしたら、まだ前の宿泊者が滞在していました。鉢合わせしませんでしたが、海外だと撃たれるリスクも存在します。

相手がまだチェックアウトしていない部屋へ通すことは、日本ではありえず。そして、海外ではマニュアルに従い、ヒューマンリスクなどもあるから仕方がないことと反論されて終わりです。相手は、けっして謝らず、ミスを認めたりしません。

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(6)服装や移動手段

日本で着ている洋服、あるいは雑誌で見ているようなカッコいい洋服で、海外に出かけたい。お洒落をしたいというのは、理解できますが、あまり好ましいことではありません。

派手な鞄やジャケット、マフラーやスカーフは、めぼしを付けられやすく、複数で狙う場合の目印になります。

なるべく、現地でのトーンに合わせます。また、文化的な差異から、好奇の目で見られないように、現地の習慣に合わせます。

南アジアなど現地の慣習から、男尊女卑のケースもあります。親しみを込めた対応が、少し距離が近い場合もあるので、距離の取り方に気を付けたいと思います。

私の場合は、米国の東海岸、西海岸、欧州では、着ていく洋服を変えています。出来れば、現地で購入したものを、次のときに、持っていくなど、ライフスタイルを合わせると良いでしょう。

移動ですが、ホテルからタクシーが基本です。

ホテルからのタクシーは高いですが、これは安全コストと諦めてください。

帰りの場合、アポ先でお願いするか、来たときのタクシーにしばらくまってもらう。

あるいは、一日契約で、値段交渉をします。

レストランを訪れた際も、流しのタクシーを使ってはいけません。

これらは、学生時代に、バックパック旅行で、冒険をした人ほど、軽視することです。初心忘れずに、緊張感を持った海外滞在が基本となります。

(ビジネス出張では、その分のコストも含めて、海外出張を計画します)

(移動距離が長い場合、持っている書類や経営情報などの管理も大事となります)

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(7)スマホ撮影時=スリや交通事故

旅行先での記念撮影は、かつては、帰国後に現像してというのが一般的でした。今は、食事シーンや街並みなどは、その場でアップして、国内の有人や知人、或いはツイッターで共有したいところです。

かつても、撮影時は無防備になると言われていましたが、いまは、さらにアップの時間がかかりますので、無防備は倍増します。

撮影時には、持っている鞄やリュックなど、背後が無謀にになります。

ジーンズの後ろポケットにiPhoneなどを入れておくと、すられることもあります。携帯電話やスマホは、海外ではまだまだ貴重な希少なものである自覚も必要です。

また、欧州では、都市交通が、バス、自動車、バイク、自転車、路面電車、歩道と別れている場合もあり、ヘタに振り向く、道路に出ることで交通事故に合う可能性があります。

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(8)危ない空気で引き返す努力

海外のどこが安全か、危険かを、現地到着して検索しても、臨機応変に対応できるとは限りません。

一つ留意すべきは、駅や公園です。

駅は移動に便利ですので、列車での旅では、どうしても駅周辺のホテルを選びがちですが、周辺には出稼ぎも多く、スリなどのターゲットになりやすいことに気を付けてください。

公園では、麻薬の取引などが昼下がりにも、頻繁に起きたりします。

駅から離れているといっても、ホテルから、駅まで徒歩圏で、旅行鞄を引きずってあるくのも、時間によりけりとなります。

高速鉄道や列車などで駅に到着した場合、ホテルまでの道のりは、歩くよりタクシーが安全と言えます。

これらは、空港到着時にも言えることです。

もう一つは、街中を散策しているときに起こります。ふらっと歩いていると、景色が変わる場所があります。

街灯や店の灯りが消えたりする。人通りが途絶える場所。

それは、現地の人も敬遠していたり、過去にアクシデントがあり、繰り返し、ものを破壊されるところだと自覚してください。

万が一そうでなくても警戒し、今来た道をすぐに戻ることが肝要です。

なお、道に迷って、駅でホテルまでの行き先を聞いて、被害にあった方がいます。

(インドに二週間以上滞在で、街になれたとことで、美術館の帰りの欧米人の女性でした)

誰に、どう道先を訊くのか、複数の人がたむろしていても、集団で襲われるケースが少なくありません。

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(9)さらなる思わぬ落とし穴

私の場合、仕事柄海外が多いので、いろいろなアクシデントに見舞われ、生還しています。

あるときは、飛行機が隣の島に不時着しました。ポルトガル領のマデイラ島に行くときですが、不時着し、小銭がありませんので、電話もかけられず。

ロンドン空港からビジネスクラスでのトランジットでしたので、隣が裕福な方で、小銭を恵んでもらいました。

小銭がないでの、飲料水を自販機から買えず、ホテルへの電話などには不可欠です。

(空港に閉じ込められるという意味では、昨日(=2月9日~10日)の成田空港や羽田空港に豪雪で閉じ込められた皆さんは、飲み物、食べ物がなく、大変な思いをされたと思います。)

(私が観光や起業・投資で沖縄のサポーター、広報=美ら島沖縄大使を務めていますが、沖縄などでも、台風時に、空港に閉じ込められる方が多々おります。沖縄の心優しい皆さんは、台風で空港で一泊を余儀なくされる観光客、ビジネスパーソンを自宅に泊まってもらう運動を展開しています)

鞄の中には、いざというときのために、スナック菓子や飲料水を忍ばせておくことをおススメします。(空港での没収に気を付けながら)

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(10)むやみに荷物を人から預からない

日本の市議が中国からの帰国時に、スーツケースから麻薬が出てきたことは記憶に新しいところです。

頼まれたからという理由では、無罪放免にはなりません。空港のカウンターでは、他人から頼まれたスーツケースはないかが問われます。

しかし、同じツアーで一週間一緒にいた、エコノミークラスで荷物に税金がかかるので、機内に持ち込むまでと頼まれたら、断りきれないものです。

これを断ることが、自らの安全安心を確保することにとなります。

盲点としては、海外滞在の方から、母親にと荷物を預かる、あるいは、こちらにいる家族から、持って行って欲しいと頼まれたものなどです。

これらは良かろうと、持って行ったりすると、思わぬ落とし穴が待ち受けています。

市議のケースでは取引先の方から、サンプルを航空機で運ぶことを依頼されています。これが本当かどうかは別にして、多くの国では、麻薬の持ち運び使用は、重罪となります。

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(11)過去のリスク事象を知る

冒頭で伝えましたが、再度、書きます。

現地滞在時には、その場所での記念日などに留意します。

攻撃された側は反撃をし、さらに攻撃を受ける。民族紛争などが繰り返されます。

重要記念日などでは、繰り返し報復が起こります。

また、年末年始など、列車事故が多発する場所も少なくありません。

金曜日や祭日の前日などは、米軍施設や欧米観光客が集まるクラブやディスコ、バーやレストランなどが爆弾テロの犠牲になることが少なくありません。

リゾート地には、米軍関係者が休暇で訪れるため、被害にあうケースも多々あります。

せっかくの楽しい旅行、ビジネス出張で経験を積もうとしているとき。オンタイムとオフタイムをうまく使い分けたいところですが、地味に質素にが基本となります。

なので、日没後は、ホテルライフを楽しみ、部屋で、休息と翌日への備えなどが肝要です。

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(12)ビジネス出張と個人旅行

だいぶ長くなりました。

社会人なってからずっと国際戦略、経営戦略を生業とし、あちらこちらへ出張している合間に、経験を積んできたことです。

それと、リスクマネジメントを本業の一つにしているので、ついついそうした目線で、ビジネスが動いています。

ビジネス出張は、会社を代表するため、現地のアポ時間は定刻が基本ですし、相手は予定は未定で、変更してくるケースも想定してください。

そもそも論でなぜ出張するのか。現地を見て、相手と握手し、本物かどうかの確認をするのが、東洋的思想ですが、彼ら彼女らは、十年ぐらい前から、ネットなどでのやり取りと、サイトチェックで十分ではないかと考えています。

(それでも、自らの経験を積む上での、海外出張は楽しく、多くのスキルを獲得することが出来ます)

個人旅行ですが、リラックスして楽しく。

個人旅行には、新婚旅行も含まれますが、やはり準備段階からの寝不足が気になります。

今では、少なくなりましたが、英語に不慣れ、だらしなさが見えたと、成田離婚などが、バブルの頃、90年代初頭には、良くありました。

初めての二人での海外で、旦那さんが奥様に、カッコいいところ見せたいと、無理をすることなど控えたいものです。

ビジネスでも、個人の旅行でも、いきなり上級コースに行かずに、まずは、簡単なところから。

最初はツアーに参加し、危険なところはツアーに参加する。

地味で、無事に帰国することこそが、良い思い出、楽しい旅行になります。

長くなりましたので、この辺でひとまず、まとめとします。次回、以降、さらに詳しく。クレジットカードやパスポートなどに言及したいと思います。

(店主)

<追記>

現代リスクの基礎知識(日経BP社)

・2008年~2011年の連載リストhttp://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20080923/100459/?rt=nocnt

・2005年~2008年の連載リストhttp://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/risk/

・それ以前の出版本

リスクリテラシー入門(2005年)http://www.amazon.co.jp/gp/product/482222063X

危機に強い会社をつくる(2003年)

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822220591

 

 


グローバル人材は、地球規模人材

201308160101グローバル人材を育成しようと政府も動いています。

小中高のカリキュラムも変わりつつあり、今後、英語力を強化することになります。

 

日本に限らず、非英語圏では、教科書的な英語学習は、身につかず、何年も苦労したのに、外国人を見たら逃げ出す中高年が少なくありません。

「グローバス人材」というビジョンは、狭義には、世界の共通語になった英語をスムーズに話すことで、日本という、成熟し、少子高齢で国内市場が縮小する部分を、どんどん海外に行って補填し、次世代の飯の種を探してきなさいということです。

ただし、本来あるべき、グローバル人材ってなんだろうと考えたとき、政府(霞ヶ関)が考える「グローバル」はやや違うのかもしれません。

まずは、グローバル人材の定義を試みます。

ここでは、(1)英語、中国語はどこまで上達したら良いのか、(2)国際化と地球規模化、(3)失敗から学ぶ、(4)リーダーシップとフォロワーシップ、(5)日本への利益貢献、(6)内なる国際化と外なる国際化。に言及します。

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(1)英語、中国語はどこまで上達したら良いのか

英語は確かに大事ですが、英語が苦手で、中国語が得意(あるいは学習中)な皆さんは、英語じゃなくても良いでしょ?という質問を良く受けます。

私は、英語も中国語もできますが、ビジネス経験では、まず英語を話せることの方が、アジアで、中国やシンガポール、台湾などで、仕事をする上でも、スムーズに行きます。ある意味、箔が着くようなものです。

それと、中国語の上達には、時間がかかり、英語のがとっつきやすいこと。英語と中国語の文法が似ているので、英語をやってからでも、遅くはないからです。

その英語ですが、英語って、旅行に行って意志疎通が出来る程度で良いのか。発音悪くても、世界的にはみんな訛って話しているじゃないか。単語の羅列でも通じるから、どんどん話そうというのがあります。

どれも正しいのですが、行きつ戻りつ、悩みながら語学は上達しますし、しばらく使わないと錆びついたりします。

ビジネスで英語を話すには、文法(特に、時制、複数・単数、しかるべき英単語)を使っているかなどが確認されます。

本格的に海外で仕事をするには、出来れば、留学経験があり、学位などを取得していることが必要ですが、必ずしも新卒でではなく、社会人を経験してからの留学でも構いません。

発音などについては、ネイティブ並になるには、小さい頃に住んでいることが不可欠ですが、海外に出ていなくても上手な皆さんがいますので、語学には才能みたいなものがあるのかもしれません。

それでも、発音悪いと、片言英語だということで、しっかり話を聞いてもらえないのは、観光で来る外国人が話す日本語と、留学し、何年も日本に居る外国人の日本語では、ビジネス時のストレスが異なることからもうかがえます。

(一方では、日本を含め、英語というものは、気楽に、どんどん前に進みましょうとなりますが、他方で、ビジネスやっていく上で、もっとしっかり英語遣いになる。このトレードオフをどう解釈するかは、非常に、難しく、グローバル人材を伝える皆さんによっても、様々となります)

(なお、経験上、関西人のが、英語がスムーズに聞こえ?あるいは、海外で現地の方と仲良くなったりしているのを目にします。このあたり、ラテン系で行こうが成功の秘訣かもしれません)

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(2)国際化と地球規模化

なんとなく、英語や中国語が出来て、海外で活躍できるというのが、グローバル人材ってイメージしがちです。

きっかけとなった経済産業省の報告書では、

『グローバル化が進展している世界の中で、主体的に物事を考え、多様なバ
ックグラウンドをもつ同僚、取引先、顧客等に自分の考えを分かりやすく伝
え、文化的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を乗
り越えて、相手の立場に立って互いを理解し、更にはそうした差異からそれ
ぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、新しい価値を生み
出すことができる人材。』

(産学人材育成パートナーシップ、グローバル人材育成委員会(2010年4月)http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/san_gaku_ps/2010globalhoukokusho.pdf

としています。

安倍総理は、平成26年1月24日の施政方針演説で

『意欲と能力のある全ての若者に留学機会を実現します。学生の経済的負担を軽減する仕組みを創り、二〇二〇年に向けて日本人の海外留学の倍増を目指します。
「可能性」に満ちた若者たちを、グローバルな舞台で活躍できる人材へと育んでまいります。』

(第百八十六回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement2/20140124siseihousin.html

と、グローバル人材育成への決意を表明しました。

ただし、ここで注目したいのは、グローバルという言葉です。

どうもグローバル人材が、インターナショナル=国際人、国際化と同列に語られている嫌いがあるからです。

私が考える、グローバル=地球規模化です。

地球規模で物事を考える。

大航海時代に、船と船員、彼らの食料や健康をしっかり管理し、目的地に行って、物々交換などで、珍しいものを祖国に持って帰ってくる。モノの価格差を利用し、鞘を取る。そうしたビジネスを考えます。

地球規模での課題(イシュー)は、様々ですので、貨幣価値(カネ)で儲かる必要はありません。困っている人を助け、それが社会貢献として、その国を豊にする。回りまわって、みんなが豊かになるでも構いません。

漠然と、日本では活躍できない、閉塞感がある、武者修行して来たいでも良いですが、出来れば、「目標」をもって、目標に近づくにはどうするかを考えます。

「大航海時代」でも、船が母港に戻るための契約がありますし、食料や燃料などが無くなれば、命に係わることになります。

浦島太郎ではありませんが、出向いた先が楽しく、帰ってくることを暫く忘れていると、時代が変遷し、日本が少し違う方向へと動いていて、自らが海外に出ていくときに考えていた「住み家」(ニッチ)が無くなっているかもしれません。

(住み家(ニッチ)とは、雨風をしのげ、野生動物(巨大企業)が攻め込んでこれない窪みなどをイメージしてください。)

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(3)失敗から学ぶ

グローバル人材=地球規模人材であるとすると、どんな環境でも生き抜けるということが大事になります。

多くは、サラリーマン、サラリーウーマンとして働くわけですが、環境が変わり会社に居たくない、もっと成長したいとなった時に、これまでの学歴や職歴、様々な経験から、次の職場を目指せる人材です。

海外であれば、大学や大学院での専門はより厳しく見られることになりますし、そのときどきで、雇用の継続が約束されていないこともままあります。

プロ野球や大リーグのような世界が待ち受けています。チャレンジすることで、次に繋がりますし、失敗した経験がさらなる飛躍につながることになります。

ツイッターの生みの親が、自らの経験(プチ成功、失敗、少し大きな成功)からどう学び成功したか。以下のコラムが参考になるでしょう。

➡ 「ビズ・ストーン:Twitterを生み出した3つの間違いとは?」wired http://wired.jp/2013/11/25/how-biz-stones-biggest-mistake-spawned-twitter/

なので、まずはやりなはれであり、経験とともに出会える仲間を大事に、次の次をイメージします。

起業においては、一人での起業ではなく、仲間(少なくともあと1人、出来ればあと2人)で立ち上げることが望ましいと考えます。

実際、自らのビジネスに着いてくるスタッフが居ないと、他から信用されませんし、二人ぐらい説得できないなら、そのビジネスを売り出すための営業には苦労することになります。

スタッフは、家族なども想定可能ですが、今いる会社、あるいは卒業した学校の同級生や先輩・後輩など、海外で意気投合した専門家(経歴や肩書に留意)なども含まれるでしょう。

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(4)リーダーシップとフォロワーシップ

こうして考えると、グローバル人材には、リーダーとしての資質が求められているように考えがちですが、肩の力を抜き、自然体で臨むことも悪くありません。

そもそもリーダーには、リーダーシップとフォロワーシップが必要となります。

チーム全体をまとめる上では、皆が困ったときに、決断をし、正しい方向に導くとともに、全員で作業をしていて、悩んだり、作業が遅れたものが居る場合、自らか、メンバーの配置換えをしながら、作業の効率化、目標達成を目指します。

強いリーダーがいれば、弱いリーダーが居ても良いですし、チームの性格を見ながら、リーダーが前に出たり、リーダーを補佐するメンバーが出てきたりします。

日本のグローバル人材は、欧米系狩猟系の前に前にではなく、皆の話を良く聞き、チームワークをまとめ上げるのが良いのかもしれません。

このあたり、ISS=宇宙ステーションでの日本人船長への期待や、グローバルなインフラプロジェクトでの日本人リーダーの評判が上がっていることはうれしい限りです。

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(5)日本への利益貢献

海外にどんどん出て武者修行をする。

出来れば、海外で成功し、日本が人材輩出の「場」であることを示す。

それでも、どこかのタイミングで、日本に戻り、その経験をさらに次世代に伝える。

行きつ戻りつ、結果、日本に利益をもたらし、国家に貢献したい。

そう私は考えます。

そして、その日本に留学生や仕事で来た外国の皆さんが日本に定住し、日本の良さを地球規模で循環できれば、素晴らしいことだと思います。

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(6)内なる国際化と外なる国際化

このように、ここでは、グローバル人材として、外なる国際化、海外に出ていく話をしましたが、その準備期間として、内なる国際化にも目を向けることが不可欠です。

既に多くの留学生、外国人ビジネスマン、ビジネスウーマンが日本にたくさん入ってきています。

彼ら彼女らと仲良くなり、海外を体験することも、国際化であり、グローバル人材と言えます。

そのとき、観光立国を目指す日本を訪れるのは、台湾や韓国、香港や、シンガポール、そして中国という近隣諸国であることも忘れてはいけません。

アジアの皆さんの多くが、既に日本国内で働いていて、彼ら彼女らも、外国人であるという意識、必ずしも、白人、金髪だけが、外国人でないことも、グローバル人材としては、意識したいところです。

次回以降、グローバル人材のスキルについて、まとめたいと思います。

(店主)

 


ウェアラブルの協奏曲と狂想曲

201307051406ウェアラブルについてそろそろ、論じておきたいと考えます。

タイトルの協奏曲と狂想曲ですが、当初、どちらにするか迷いました。

良く考えると、両方の意味合いがあるなぁと。

 

協奏曲は、独奏楽器と管弦楽器が合奏する曲。コンツェルト。

狂想曲は、一定の形式がなく、自由で機知に富む曲。カプリッチオ。

協奏は、共創であり、強壮であります。

狂想は、競争であり、競走となるでしょう。

前者は、スマホやタブレットとの共用を想定し、ゆるやかな調和が基本。

後者は、独自の進化となります。

いまのウェアラブルは、前者(協奏曲)への対応が前提となっています。

ここでは、(1)ウェアラブルとは?、(2)身に着けることによるリスク、(3)先に豊かになるもの、(4)脱時計の揺れ戻しは起こるのか、(5)メガネは、個性を表す、(6)プライシング、(7)さらなる狂想曲へ。などを伝えます。

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(1)ウェアラブルとは?

ウェアラブルは、身に着くもの。

言葉の定義からは、身に着けるもの全てが、対象となり、開発可能性を秘めています。

なので、通信メーカー、携帯機器メーカー以外にも、様々な提案があります。

乗りおくれないように、それら研究開発は、2年ほど続けられてきました。

いまあるもの、あるいは付け足すことで、出遅れないためには。

時計、メガネ、洋服生地、靴、指輪…。

特に、時計とメガネに期待がかかります。

プラットフォームをいかに抑えるか。

強者連合で、グーグルやアップルが一歩リードしている状況ですが、まだまだ、先にどういう変化があるか解りません。

時計でも、メガネでも、日本のデザイナーが率いるベンチャー企業が米国西海岸で、開発を急いでいます。

LINEや個電に続き、このウェアラブルでも、日本人のものづくり、感性に期待がかかります。

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(2)身に着けることによるリスク

時計やメガネが注目され、やがて少なくない皆さんが利活用することでしょう。

ただし、身に着けることで、自らの利便性と他人の個人情報を脅かすので、一長一短あると言われています。

特に、個人利用、世界的な流行に結びついた場合でのリスクの拡散です。

既に、迷惑行為として、取り締まる事例が出ています。

米国西海岸では、車で走行中に、グーグルグラスを着用、操作し、逮捕されたのが、違法?の最初のケースと記憶します。

(既に弁護士が担当し、無罪求め、争ったりしています)

直近では、映画館で、録画機能を外したメガネ型(グーグルグラス)を身に着け、コンテンツを盗んでいるとの疑いをかけられました。

(このケースでは、着用した本人が、度付メガネとして、日頃から常用しているため、違法にみられるとは想定していなかったようです)

映画館以外では、レストランやブティックなどで、グラスを外すように求められいますし、自動車運転時には認められていません。

今は、システム開発者やメディア、SNS研究者、学者などが優先的にグーグルグラスを使用していますが、まもなく、一般にも市販され、開放されていきます。

さらに、想定されないリスク、混乱が登場することでしょう。

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(3)先に豊かになるもの

ネガティブな側面は、既に多く指摘されていますが、では、着用するメリットには何があるのか。

現行先行するのは、医療や軍需など閉じた空間、両手がふさがれた状態でのプロの利用です。

医療現場や軍需では、その豊富な予算、あるいは、使用している機器システムのトータルが高額なため、新しいものを導入しても、さほど困らないと考えられます。

もう一つは、金融取引の世界。金融システムの一部に取り込まれることは、これまでの歴史から、同じように実施されるでしょう。より早く、より定量的に、ものごとの判断が出来るところで、鞘(アービトラージ)を抜きます。

それ以外では、物流や配送、空港や図書館などでの効率化、スピード化を求め、利・活用されます。これは、セグウェイなどを導入してきた組織や「場」が該当することでしょう。

その先は、何か。

スポーツやエンターテイメントなどで、利用が進むと考えます。

(実際には、すぐに取り込めるということで、スポーツやエンターテイメントが、上記プロ仕様よりも、先に注目を浴びると考えます)

ソチ五輪(2014年2月)には間に合いませんが、競技者がグーグルグラスか、代替するサングラスやゴーグルをつけて、競技をし、それを観衆が楽しむ。サッカーのゴールキーパー、アルペンスキー、F1ドライバーなどが想定可能でしょう。

(さらには、セミプロがプロになるためのトレーニングとして、グーグルグラス+ARを利活用することになります)

エンターテイメント産業ではどうか。

コンサート会場で、パフュームやAKB48 がパフォーマンスの途中にファンに向けた目線、あるいは握手しているときに見つめたものを、自分を見つめているというDVDは、個人が買いたくなることでしょう。

さらに、著作権をクリアすれば、コンサート会場でゴーグルをし、その録画したものを個人利用に限り、持ち帰れるようになるはずです。

その先の、一般への普及にはまだまだハードルが高いとも思われますが、徐々に浸透することになります。

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(4)脱時計の揺れ戻しは起こるのか

そもそも論でいえば、携帯やスマホは「ドミナント・デザイン」であることから、その流行や発展により、「時計」という機能を吸収して来ました。

(ドミナントは、支配的な力強さのあるものであり、いわゆる勝ち組産業です。携帯・スマホ以外ですと、自動車産業が該当します)

携帯やスマホの普及とともに、脱時計が若い世代から始まり、徐々に中高年に普及しています。

(あるいは、かつて若かった皆さん、20代~30代が、30代~40代になった)

かつて、腕時計は必須でしたが、携帯&スマホを常に身に着けているならば、時計は、携帯&スマホで代用できるのではという発想をしたわけです。

90年代後半、セミナーやシンポジウムで、受講者や来場者に向け、腕時計をしているか挙手させたりしました。20代や30代は、当時、さっさと腕時計を外していることが、明確に解りました。

それでも、腕時計をするには、理由があります。ブランドが醸し出す雰囲気、自らの趣味や相手の趣向を見出すからです。

こだわる人は、一つ30万円も、50万円も、時計に費やします。

時計や靴を見て、その人物を判断するレストランやブティックもあるほどです。

一方で、時計をさっさと捨て去った人、他方で今でも時計を大事にする皆さん(たとえば、記念品や形見など)。

両方からのサンドバッグに、どう応えるのか。

これが、今の腕時計型ウェアラブルの課題です。

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(5)メガネは、個性を表す

メガネ型でいえば、近視や遠視、乱視は、それなりにコンプレックスとなります。

眼鏡が似合うと言われても、メガネは曇るし、鼻に当たる部分や耳は痛くなります。

眼鏡をかける皆さんは、いかに、快適な、そして自分らしく見える、あるいはかっこよく、美しく見えるものを探しています。

フレームについては、グーグルグラス的には、4種類ほど、フレームを選択できるようになりました。

これらは、やがて、自分がいま身に着けているものの上にかぶせる(クリップオン)が登場することになるでしょう。

それでも、「重さ」をどう克服するかが問われます。

つまり、ファッション性と快適性という、これまで散々メガネをかけている皆さんのニーズに応えることが不可欠です。

それでは、裸眼でいる皆さんだけを対象にしたらどうか。

もともと、メガネをかけていない皆さんに、メガネをかけて、そのメガネが快適で、利便性、特にビジネスやオフタイムが充実したものになるようにするには?

このハードルはなかなか高いのではないかとも思います。

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(6)プライシング

もう一つは、価格の問題。

スマホ連動ならば、1万5000円~3万円。どんなに高くても、5万円を超えることはありません。(協奏曲)

単独で動くのであれば、10~12万円。(狂想曲)。グーグルグラスがこのあたりを狙っています。

あるいは、法人利用で、大量生産などもあるでしょう。

既に、携帯やスマホで7万円~10万円を使い、さらに、5万円足したぐらい。

ラップトップ型パソコンを1台買えるもの。その中に、全てを落とし込みます。

予算が先にありきで、その中に求める機能。

腕時計型であれば、心拍数を測定し、これまで出来ていたものが、小さい画面(含むバングル型のラウンドタイプ)に、違和感なく表示される。

眼鏡型であれば、道案内や人物紹介、あるいはライフログの記録、ビジネス取引のための記録などに使われます。視覚だけでなく、様々な感覚を加味したものへと進化する。

いずれにせよ、価格は据え置き、どこまで「ガラパゴス」化するか。環境に適応し、適度に機能や感性をそぎ落とすかが問われます。

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(7)さらなる狂想曲へ。

独自の進化を促し、競争に勝つ。そのための競走(スピード経営)。

ウェアラブルとは何か。

今一度、考えることが大事になります。

世界的に求められているもの。(協奏曲)

これとは別に、日本的なウェアラブルとは何か。(狂想曲)

まだ、考え付いていないウェアラブルなど…。

このあたり、文章長くなりました。

現在進行形で、コンサルティングしているものがありますので、

また、機会を改めたいと考えます。

(この項、続く)

店主